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何もない大地。South Dakota州です。我が故郷Iowaから西に行けばいく程、何もなくなるわけですがそんな場所だからこそ、アメリカが配置した、あるいは配置しているものがあります。今回はそれをちょっと見てみましょうか。 |
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何にもない世界を爆進。果ての方に町が見えてきます。 |
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South Dakota州は西部の味があります。建物も何処かそんな味を持ったものが多いです。 |
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今回はそんな小さな町の中でもEllsworthという町に行ってみます。そこはAir
Force Base、つまり空軍基地なのです。凡人、特攻しました。っちゅうか、博物館と少々の基地案内があるのです。 |
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アメリカの空軍基地なら何処にでもありそうな飛行機の展示物がここにもありました。もう、この手の奴はアッチコッチで見てきたのでいい加減飽きました。全く興味なし。笑 |
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ちょっと目立つところでは金ぴかピンのB-29がありました。第二次大戦中、日本を苦しめた悪モノです。超高度飛行に日本は殆どなすすべなく一方的に爆撃されました。アメリカは終戦直前にはB-29にGNP比50%の予算をつぎ込んでいたそうです。これで行けば必ず勝てると踏んでいたのでしょう。 |
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B-29以降、何世代かの次世代爆撃機を経た後、今では超大型のB-52とかステルス戦闘爆撃機の時代になってます。 |
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2005年、今現時点でアメリカの爆撃機の中でも一番、ヒューンと早く飛べる爆撃機がコイツ |
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B-1 Lancerです。爆撃機なのにそんなに早く飛ばなくてもよさそうなもんなのに...っちゅうくらいこれはメッチャ早いです。羽がF-14トムキャットとかと同じように開閉式になっていて超音速滑走する時には閉じて空気抵抗を減らして飛ぶのです。 |
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今まで3回コイツの飛ぶ姿を見ましたがとても爆撃機とは思えません。大体いつも、US
Air forceの祭典、Blue AngelesではF-16ファルコンがその中心なのですが、F-15イーグル、F/A-18ホーネットの2戦闘機とコイツB-1ランサーの飛びっぷりは格が違います。F-15イーグル、F/A-18ホーネットのアフターバーナー吹きまくって空の彼方にすっ飛んでいくのはもちろん驚異的なのですが、コイツB-1はサイズが圧倒的にデカイので物凄い爆音がしたかと思ったら、あっという間に空の彼方に消えていきます。絶対に高射砲なんかじゃ当たらんと思います。
ま、もっとも、つい先ごろアメリカは時速10万キロで突っ走る彗星に小型探査機ブチ当てる程の凄まじい技術をDeep
Impactの実験で世界中に知らしめましたから速度だけでは戦闘では話になりませんし、飛行機の時代から既にミサイルや衛星からの遠隔戦闘の時代になりつつあるようですが... |
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そう、このミサイルが飛行機より更に怖い訳ですよ。今の時代はネ。
こういう訳で、このEllswrothの空軍基地にはF-15やB-1等のかなり本格的空軍師団が駐屯してるにもかかわらず、それらはココにおける脇役で、凡人は今回主役のこのミサイルをこの基地に見に突撃しました。
この空高くそびえるミサイルは |
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ミニットマンIIミサイルといいます。コイツは黒幕的存在ながら冷戦時代の主役でした。つまり、このミニットマンIIミサイルは主に核弾頭搭載用に開発されてきたものなのです。日本でも航空ショーに行けばアメリカの戦闘機は見れるチャンスはあります。しかし、どんなに間違っても核弾頭は見れないだろう、っちゅうことで今回はひと目、この目に収めとこうという訳です。冷戦時代の、いや、現代戦争の生き証人として。
もともと、冷戦の時代、アメリカには無数の核弾頭がありました。当時約50%以上がNorth
Dakota一州にあったそうです。特にNorth DakotaのGrand
Fork周辺に。いいでしょうか?North Dakota州はアメリカで2番目に人口密度の低い州です。つまり、ど田舎もド田舎なのです。そんなとこに、いや、そんなとこだから核弾頭を配置したわけです。当時、North
Dakota州には住民にも良く分からない沢山の塚のようなものがあったそうです。冷戦が終わり、レーガン政権の中、核削減の方針がとられ、状況は一変します。核のあるものは廃棄されたのです。塚はつぶされました。今では核再編にともない50%以上をもっていたNorth
Dakotaには核弾頭ミサイル発射基地はなくなったそうです。冷戦が終わった後に住民は後になって分かったことですが、その沢山の塚は核弾頭ミサイル発射基地だったそうな...いやはや。でも、ここSouth
Dakota州のEllsworthには大規模な現役ミサイル発射基地があるのです。 |
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ここは売店兼博物館です。ここで情報を入手しました。
次のことが分かりました。
@ここでは今は使われていないミニットマンIIミサイルのサイロ(ミサイルの入る穴)とその中にある(核弾頭の詰まれていない)ミニットマンIIミサイルを見ることができる。
A使用可能で現役のミニットマンIIミサイルはこのEllsworthから少し離れた場所にあるMinuteman Missile National Historic Siteで見ることができる。
※これは一日限定5人までの枠で、非常に規制されている。とても人気があって数ヶ月前からの予約が必要。→今回は無理
B今のアメリカの核弾頭ミサイルの主役はミニットマンIIIミサイルであるが、一切公開されていない。笑 当たり前か。
ちゅう訳で、ここでは一世代前の奴、冷戦時代にアメリカを守っていたとされるミサイルを見ることになる訳です。 |
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まず入ると売店があって、中に入るチケットを購入。 |
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売店には宇宙食とか色々なもん売ってました。
”宇宙食か、ただのドライフードやろう。ん?アイスクリームがあるぞ?どういいうこっちゃ?” |
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売店の先にどうでもいい感じの博物館がありました。 |
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この博物館は無料。そんな程度のもんです。ただ、ただ冷房が効いてたのだけは◎です。(笑) |
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少し目を引いたところでは、この辺りで1935年に気球で世界一高くまで登った記録があるそうな。上空14マイル(20000m少々)程。上空2万mですからエベレスト山の2倍以上、飛行士は酸欠で相当苦しかったでしょう。これはその時に使われた道具と、それが報道された新聞記事で |
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これがその自給実物です。まー、相当なチャレンジャーですよ。無謀です。アメリカ人の冒険心は桁が違います。 |
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また、この空軍基地は第二次大戦中の第99爆撃隊を訓練した場所だそうです。というか、ここを飛び立ったB-29編隊が第99爆撃隊ですね。ここから、テニアン基地に行ったと記載されてますから、日本を明らかに爆撃した筈です。。。
んー、この場所が... 気持ち複雑でした。でもね、暴れたら間違いなく拘束されますよ。ここ空軍基地ですから。笑 |
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この一帯の情報です。この辺は第44戦略ミサイルウィングと言われてきました。ここら辺は核弾頭ミサイル基地の集合体でEllsworthはその中のひとつに過ぎませんでした。全体を見渡すとRapid
Cityを中心としてそこから半径100マイル以内の場所に合計150箇所くらいの核弾頭ミサイルのサイロ(穴)がありました...
きっと、これだけで十分世界は火の海になりますね。。。
サイロ10個程がひとつの集団を成しており、それらがその中心にあるコントロールセンターで制御されているのです。そういったコントロールセンターとそれに制御される核弾頭ミサイルサイロの集団というコマンド単位が、辺りに15箇所ほどあるのです。 |

初代機:飛行機みたい |

サンダーバードの世界だね |

ミサイルらしくなってきました |

かなり危険な雰囲気です |
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ミサイルの進化の歴史が紹介されてました。 |
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これはミサイルに搭載された噴射装置の歴史です。噴射装置?そう、ロケット・エンジンです。 |
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これはミニットマンIIにも搭載されてきたロケット・エンジンで、 |
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これを4個集めてミサイルの物凄い推進力を得るのです。 |
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ちなみに冷戦当時、アメリカ最大の敵国関係にあったソ連。その何処であろうと発射後50分以内に、このミサイルは到着、着弾する能力があるそうです。わずか1時間以内の報復、そういったところでしょうか。 |
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ちなみに戦略ミサイルサイロとその発射設備の断面図ジオラマはこんな感じです。
発射設備(写真左)は地上ではなく地下にあって、戦略ミサイルサイロ(写真右)も地下にあります。この写真のミサイルサイロにはミサイルは入っていませんが |
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実際にミサイルが入るとこんな感じの筈です。 |
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こんな感じで発射設備はひとつの単位となっていて、同じような奴10個程がユニットをなしており、それを全て統括するコントロールセンターが中心にある訳です。これらのミサイル基地は辺鄙な場所を選んで建設されています。 |
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発射設備は地上の建物ではなく地下のシェルターの中に隠れているのです。 |
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ちなみに発射設備内部の装置を博物館でそのまま公開してました。かなり狭い場所です。 |
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そして装置が古い。コンピュータというよりはトランジスタか何かで制御されてるんじゃなかろうか?と思ってしまうくらい古く、お粗末なものでした。ま、こんな感じの老朽化したものだからこそ一般公開できてるのでしょうけどね。じゃなきゃ、とても最新設備は公開できんでしょう。きっと物凄い国家機密の筈です。 |
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ちなみにこの古い発射装置ですが最も重要なパーツはもちろんここですね。核弾頭ミサイルを発射するためのところ。
Launch Key
です。おい、鍵かい...
ま、そんだけ古いっちゅうことやね。 |
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博物館はそんくらいにしてメインのミサイル見に行きましょう。博物館前にバスが来ますから、それに乗って |

空軍兵の宿舎、綺麗な家です |

ガソリンスタンドも基地内にありました。 |

病院です。完璧に最新設備そろえてるのですが、
平素使われることは殆どないそうな。もったいないような... |

フィットネスセンターありました。笑
兵士は太りすぎると大減俸なのだそうです。 |
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基地内部に進入。
こりゃ、完全に町ですね。基地と言うよりは。小学校、郵便局はおろか、基地内だと言うのにマクドナルド、公園、テニスコートまである始末でした。 |
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滑走路をバスでしばらく突っ走ると |
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到着 |
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これがミサイルの発射する穴、サイロです。
はあ?
っちゅう感じでしょうかね? |
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でも良く見ると足元に、なにやらマンホールの蓋のようなものがあります。
何でしょうか?
これ、核弾頭ミサイル発射装置のある部屋に入る為の唯一の入り口です。ちなみにミサイル発射する訓練を受けた人は、それだけのプロであって、この入り口を開ける方法は知りません。ミサイル発射する人だけでは中に入れないのです。中に入るには蓋を開けるプロにお願いしなければ、この蓋は開かないそうです。そしてその蓋を開けるプロはミサイルのことは何も知りません。完全分業にして安全を絶対のものにしているのです。でなきゃ、一歩間違えばとんでもないことになるのは明らかだからです。ちなみに、この核弾頭ミサイル発射装置一ユニットに必ず常に人が入っています。昼も夜も。実際には3交代制だそうです。そうやって24時間体制でミサイル発射準備しておかなければ、冷戦構造では全く意味を成さないのです。思い出してください。ミサイルは1時間以内に地球上のあらゆる場所をカバーするのですよ。いったん中に入って核弾頭ミサイル発射管理し始めた人はトイレにうかうか行ってられません。かなりきつい仕事でしょう。99.999%以上は何も起こらないのに、核戦争への心構えをもって待っておかねばならんのですから。
こんなもん、なきゃいいのに。。。 |
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この見学に訪れた場所のサイロには、サイロ裏側に特別に別の入り口がありました。(普通は上の写真のように一個しか入り口はありません)
この入り口見るとトレーニングセンターと書いてあります。そう、このサイロと発射装置は冷戦時代のリアルシュミレーションをやる場所だったのです。冷戦時代当時、練習用に使われてきた奴だった訳なんですね。どう間違っても核弾頭はココその場所にはもともとない訳です。一般公開してるわけですから、当たり前でしょうかねぇ。 |
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このとおり、これがひとつのユニットです。左のマンホール場の蓋、これが入り口で、立っているオッちゃんの後ろにある下の6角形のデッパリ、これが核弾頭ミサイルサイロの上部です。ミサイルサイロはこの下に20−30m掘られていて、そこに核弾頭ミサイルがあるわけなのです。 |
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サイロ裏側には滑車がありました。これが
ガガガガガ....
と開いた時は発射準備完了→世界の最期となる訳です。 |
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こんなふうにね。 |
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サイロの中に入りました。足元のタイルはかなり悪趣味です。 |
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サイロを降りながらオッちゃんが説明を続けます。オッちゃん、退役軍人でベトナムに行った人でした。日本にも駐在していたことがあったといってました。
Yokohamaとかいってたかな? |
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階段下りて佳境に入って行きます。かなり地上から降りてきました。 |
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丸い穴を廊下がグルッと取り囲んでいます。そして周囲はなにやら機器が並んでいます。そして、その中心に... |
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核
弾
頭
ミ
ニ
ッ
ト
マ
ン
II |
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それは巨大な白い墓石か?
冷徹極まりない白い塔
こんなもんで世界の平和なんか
実現できるとは思えませんでした。
世界はどうなってしまうのでしょうか?
人は何を求めているのでしょうか?
何をしたいのでしょうか? |