Backpackの凡人



ホワイト・サンズ
そこはあたかもSnow Field!


New Mexicoの12月。寒いです。アメリカ南端にあるこの州、もっと温かいかと思っていたらロッキー山脈の南端に位置していてて結構寒い場所でした。寒いと凡人、本当に凡人となります。怠けぐせは問題ですがテントをはって一泊する気が失せます。
この日、アラモゴードという場所に入りました。歴史的にここはアメリカ国内でも軍需産業の一大拠点。空軍基地の他にも核実験施設、軍事関連の企業、研究所が集中しています。そういった拠点がこの辺鄙な場所に作られる理由もいくつかあるのでしょうが、例えばNew Mexico州はUFOの発見率の高い場所でアメリカ政府も安全保障の観点から気を配っている場所であることは確かです。この町に入る直前で検問にあい、パスポート持参していなかった凡人はしばらく足止めくらいました。気温は摂氏0度くらい。
早朝、日の出前に目的地に直行。遠くに連なるロッキー山脈の一部の山が連なっているのが見えますが、その山と平原の境目に少しだけ、白い筋が境界線のように見えるのが分かるでしょうか?目的地は此処です。
ホワイト・サンズ国定公園

白い砂の場所なんでしょう。
到着時入り口は閉まっていました。7時に開くことになっていましたが

『本当に開くのかな?』

と思っていると
7時ぴったりにレンジャーさんがやってきてあけてくれました。
入ってすぐのところにレンジャーステーションがありましたが、どうせこの場所には白い砂漠しかないことは分かっていましたのでそれ以上の情報など必要なく、この場所をPass through
中に入って進んでいきました。写真左の地平線辺りに少し見えますが、朝焼けの空の下に白い砂と思われる台地が広がってます。
道路を更にどんどん進むと、やがて舗装された道は真っ白い砂に覆いつくされ始め
砂の大地に入りました。
道路も真っ白です。まるで雪。
ココの砂は見事なまでに真っ白く、粒子も細かいです。この日、朝、気温は1度くらいでしたし、乾燥したこの場所でも朝露がそれで凍っていてサクサクとした感じて冷たく雪みたいなもんでした。
ここでは一個だけトレイル歩こうと思っていました。アルカリ・フラット・トレイルという奴があります。一周8キロです。砂漠のこの場所、夏であれば完全に地獄のようなものでしょうが、真冬のこの日はかえって歩くのには好都合と考えました。8キロ砂の上を徘徊することになりますが、ま、記念に一周しとこうと、出発。
トレイルとはいえ、ただ単にこの手の立て札が立っていてそれを探しながら先に進んでいくのであって、まともなトレイルではありません。
白い砂はまるで雪のようで、真っ青な青空の下に逆にその白い大地の方が眩しく映えてました。
白い大地は実は寒さで凍ってました。そこに吹きつける風、そしてそこを照らす朝日は大地に芸術を展開していました。
見たこともない、この光と影の織り成す光景は
筆舌に尽くしがたい美しさで
何処までも無限に広がっていました。

『ああ、俺は砂漠に来たのか、雪の世界に迷い込んだのか...』
白く輝く砂はこのとおり、ん?何?分かりにくい?
じゃ、このとおり。あちこちに小さくキラキラと輝く粒子が沢山あるのが見てとれるでしょう。ホント真っ白でしたよ。

そんな砂に覆われた大地を
歩いていくのは
実に楽しいものでした。砂ですが凍っていたために足をとられることなどなく、とても歩きやすかったのです。
凡人、サングラスに替えてくるのをうっかり忘れていました。凄まじい快晴、白い大地。目が俗に言う雪目の状態となり、ここを8キロ歩いた後、しばらく
目が光度調節不能になっているのがわかりました。

そんな場所を歩きながら見つめていると
自分以外にも人がいました。このWhite Sandsで犬の散歩しているんです。かっこいいですね。この散歩は。犬は本当に大喜びでした。
そこだけでなく、更に歩いて、また別の場所でも
やっぱし犬の散歩してる人がいました。
あらま、コッチでも犬の散歩ですね。スケールでっかい散歩だこと。
この乾燥した砂漠の大地には生物は殆ど見かけませんでしたが、少しだけ植物が生えていました。名前は知りません。本当は季節が季節ならガラガラヘビやサソリがいるはずなのかな?
とまあ、砂漠の単独行は続きます。結構、小さいながらも起伏があったのですが、やがてその向こうに
超ド平坦な大地がひろがり、
折り返し点に到着。これで4キロ少々歩いてきたわけです。早朝、寒いうちは良かったのですが日が昇って灼熱の地獄と化すのも時間の問題。水を十分持ってきていなかったことを後悔しながら干上がってしまう前にここを一周して逃げ出さなければ堪らんな、と案じていました。
平坦な大地を2キロほど歩くと、再度凸凹の砂漠丘陵地帯に侵入。ひなたでは太陽は砂漠の斜面を容赦なく照らし、凍っていた大地を溶かしていきます。
早くしなければ、この凍った砂の大地は、日に照らされて乾き、本当にサラサラの砂の大地となります。そうなれば砂に足をとられて歩くのはとても大変になり、非常に体力を消耗することとなるのは明らかです。場所、場所ではアルカリ・フラット・トレイルの立て札が何処にあるか分かりづらく、ハッキリいって手持ちの水の十分でない自分はこの砂漠で一人迷うのが怖い感じでした。
たかが8キロと思っていましたが日の出から4時間ちかく歩きまわり、凍っていた大地はサラサラの砂(←この動画は凄い)の大地になり始めました。

『やばい... 足とられる。』
気分は巨大な蟻地獄から抜け出ようと必死な状態。
足とられながら歩くのは本当にきつくて堪りませんでしたが、無事、1周を歩きとおし、ちょっとした達成感を味わうことができました。
ただできれば、この場所でキャンプをやるべきだったと、後でひどく後悔しました。恐らくこういう世界でのキャンプは一生で一回のチャンスだったはずですから。凡人、『寒いから...』などと面倒くさがらずやるべきでした。自分の心を奮い立たせて事にのぞまなければ、やはり得るものはあっても後悔してしまいます。
でも、凡人なりの満足の程度でしたが、それでも歩きとおした砂漠の8キロ少々の道のりと
そこで雪原を歩くかのように足をとられながら感じた不安は
とても記憶に残るものでした。
ホワイト・サンズ

そこはまるでSnow Field
一度行く価値は十分にあります。


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