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2004年初冬です。この年、秋10月から翌2005年2月まで数ヶ月にわたって、ボンヤリとした長期計画を立てていました。計画そのものは極めてボンヤリしていますが、目的は明確です。
『アメリカ西海岸までを往復しよう。』
それだけです。それまでの経験から凡人は細かな計画を決定してしまうことを嫌う傾向があります。この予定もその路線から外れたものではありませんでした。明確な目的、テーマの大枠だけ決定して細かな心配、何処をどう行くかなどといった些末ごとは一切気にしない、これが凡人の基本姿勢です。実際の計画は基本的にその時の天気と相談して決定するのが一番いいと感じるからです。
この長期計画では車を行った先に残して、何回もIowaに戻ってこなければなりません。週日は研究、これは自分の仕事ですから一切手抜きをしてはなりません。でも週末は違います。ここは自分が凡人と化す時間です。 |
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場所はニューメキシコにいます。温かい場所かと思っていましたがそうではありませんでした。ニューメキシコ中部はロッキー山脈の最南端辺りに位置し、高度が高いのです。その為、アメリカ南部に位置しているにもかかわらず、結構寒いのです。
この年、凡人はこの長期計画の1テーマとしてSnow
Fieldを自分のものにする、という各論的テーマがあります。この日は嬉しいことにそのSnow Field入りです。 |
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昨晩まで雪は積もっていませんでしたが、朝おきると薄っすらと雪が積もっていました。穏やかな銀世界です。 |
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この辺、夏は人気の場所ですが冬はあまり人は来ません。ですからモーテルなんかは、破格です。日本円にしても2000円しない奴なんかあってびっくりしました。25ドルくらいの奴は結構何処でも見かけるのですが、これは今まで見た最安値でした。 |
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雪の薄っすら積もった道路を進みます。途中、汽車とランデブー走行もなかなかおつなもんです。 |
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この辺はロッキー山脈とはいえ、なだらかな丘です。それでもどんどん奥に入って登っていくと |
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道路は完全に凍っていました。笑。流石に車は殆ど走っていませんでした。当然ですが危ないです。途中、一台、車がupside
downになって大破していました。流石に怖くてチンタラ運転。 |
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1時間半運転すると目的のEl Morro国定公園に到着。 |
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ここの中心はこの垂直にそびえる大きな岩のようです。 |
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この場所、ニューメキシコにはガラガラヘビやサソリがいるはずです。でも、銀世界の今、その心配はありません。 |
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安心して歩いていけます。 |
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雪をかぶったトレイルに少々足を滑らせながら歩くと |
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巨大な岩が自分を見下ろしてきました。 |
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結構な迫力です。凄い凄い。 |
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その岩の反対側はこのとおり、広大な平原が広がっています。広大なサバナの台地なのですが雪がかぶってなにやら趣があります。この平原をズーッと北の方に行けばコランポー平原。そこはオオカミ王ロボの舞台です。 |
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ま、そんなことはともかく雪の中トレイル、テクテクあるきます。 |
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雪がいい感じ♪ |
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サボテンもギャフンという感じでしょう。この寒さでは。 |
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巨大なこの岸壁を注意して見ていくと |
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いたずら書き(?)がありました。
ん?待てよ?よーく見てください。この落書き、July(7月)/8th/1858年に書かれたものですね。約150年前の落書きですヨ。落書きもこのくらい古いと価値あります。一番古い奴は1730年代のものがありました。アメリカの歴史はたかが200年少々ですから有史以前の記録な訳です。 |
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当時、この辺にはNative AmericanであるIndianがすんでいました。そこに入植してきたのが当時イザベラ女王の旗印の下に世界を制し始めていたスペイン人です。大航海時代、マルコポーロが世界一周したのを皮切りに多くのヨーロッパ列強は新天地を求めて世界に航海の旅をしていました。 |
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当時の自然科学が生み出した羅針盤、航海、鉄砲等の技術はスペイン人のようなヨーロッパ列強によるアメリカの侵略、Native
Americanとの戦いという形になりました。つまり上の落書きは、そういう歴史の名残が此処の岩には証拠として残っているということなのです。 |
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歴史、雪景色、巨石を目にしながらちょっと岩の上に登っていきます。 |
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雪をかぶった平原が益々、見晴らしよくなります。 |
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更に |
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雪積もるトレイルを先に進みます。岩の上に出てやろうというわけです。 |
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道々、自分の足跡以外に人の形跡は全くありませんでした。が、このとおり、どこかに野うさぎがいるのでしょうね。見かけることは出来ませんでしたがウサギの足跡の後をつけて歩くのはなんとも風情あふれるものでした。 |
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それにつれて景色はどんどんとその美しさを増します。 |
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遂に岩の上に到着。そこには |
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左手の方にも |
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正面にも |
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右手にも |
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広大な景色が遥か彼方まで広がっていました。実にすがすがしい気持ちです。 |
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トレイルは登ってきた巨石、岩の上に延々と続いています。 |
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凍った水溜りの上も歩きながら、先に進めば |
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岩に狭く囲まれた谷があって、 |
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そこには高さ40mくらいの岩の柱があったりしました。 |
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岩の上のトレイルは雪をまともに被っていて |
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滑りやすいし、何処にトレイルがあるか分かりにくく、なかなかスリルのあるBackcountryをなしていました。ここを歩き回るのはとても楽しいものでした。 |
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だって、この岩取り囲む周囲の平原は実に広大で |
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心が大きくなるんです。 |
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更に歩きながら感じましたが |
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自分はとても素晴らしいRock worldの中に |
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迷い込んだようだなぁ、と |
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最後に、もうひと踏ん張りして登りついた先、 |
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360度広大な平原に突然そびえる岩の頂上には
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古い時代の人の住処がありました。 |
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雪降るこの場所に人の歴史が冷凍保存。 |
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1200年代のものだそうです。かつて此処には875の部屋があって1100人にのぼる沢山の人が暮らしていたのだそうです。 |
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Native Americanの彼らはこの広大な台地を見下ろす |
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この場所を愛し |
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静かにSpritualな生活をしてきたのでしょう。 |
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毎日、窓の外に広がるニューメキシコのこの壮大な景色を目にしながら。 |
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雪の中にひっそりとたたずむ姿にとてもしんみりした気持ちになりました。
凡人にとって、この場所、とても思い出に残る素敵な場所です。サヨナラ。 |