Backpackの凡人



人生一度っきり... Grand Canyon 一度はそれに面と向かい合いたい
多くの経験の中でも一際まぶしく輝いて、心に、記憶に残る旅

天気すこぶる悪いです。さえません。
Salt Lake City拠点にユタ州、アリゾナ州近辺で過ごした2004年秋のとある週末。
前日の天気予報はユタ州・アリゾナ州全域で最悪でした。天気で計画を自在に変える主義の凡人、
この天気予報を見てヒラメキました。
『今をおいて他にチャンスはない。』
砂嵐吹き荒れる砂漠の中を爆走して向かった先には
谷がありました。(これは上流の方)
そう、ここはグランドキャニオンです。2回目のVisitになります。
前日の天気予報どおり、天気は最悪。雨がザアザアと降ってました。

”おっしゃ、思ったとおりだ♪ウッシッシ”

レンジャーステーションに向かいました。いつもなら、物凄い観光客であふれているはずのこの場所、降りしきる雨にお客さんも殆どいません。
パークレンジャーさんに聞いたのはBackcountry permitの取得です。要するに谷底に下りるための許可がほしいのです。この許可証がなければ谷底に下りることは許されません。レンジャーさんに、別の場所にBackcountry用の専用のOfficeがあるという情報を入手。そのOfficeへ急ぎました。
これがグランドキャニオンのBackcountry Officeです。レンジャーさんが3人、お客さんは一人もいませんでした。Grand Canyonの谷底へいく場合、一泊しなければ無理です。一番最短距離歩いても往復30キロ以上、高低差は実に1200m(!)以上あるのです。ですからグランドキャニオン国立公園ではBackcountry permitという(Canyon内でのキャンプ場予約を含む)許可証を取らない限り、谷底へいくことは許されていません。Backcountry permitなしではGrand Canyonは上から見るしか手がないのです。このBackcountry permitは5ヶ月前から予約開始になるのですが、まさにアッという間に予約一杯になってしまうことが知られています。この予約は週末のみならず週日でも予約に空白はありません。この予約は(2004年現在)FAXでのみ受け付け(インターネット、電話でも予約不能)。要するに5ヶ月前にヤマカンで予約しておくしか取得する方法はないのです。アメリカでもっとも人気のある場所ですから、予約だけでも簡単でないんですね。特にGrand Canyon谷底に寝泊りしてよい場所はBright Angelキャンプ場とファントムロッジ(個室、ドミトリーあり)の2箇所だけで、それはそれは凄まじい人気です。それらを予約できることは一種奇跡に近いくらいの確立でしか起こりえません。それ以外の場所で例えテントを持って行っていても寝泊りすることは禁止されています。入場者数を厳にコントロールしているのです。この時、凡人はBackcountry permitも、キャンプサイト予約もありませんでした。凡人が前日の天気予報でグランドキャニオン一帯が雨で特に最悪だと見て、大量の谷底行きキャンセル発生を期待したのです。それが上でいった『今をおいて他にチャンスはない。』というヒラメキです。
いちかばちかレンジャーさんに聞くと、
『ああ、この天気でしょう。沢山のキャンセルが出てるのよねぇ。』と言ってます。凡人のヒラメキ大当たり♪通常ならば5ヶ月前から予約して待っておかないと入手できないBackcountry PermitとBright Angelキャンプ場の翌日の予約をこの場所で確保することができました。

ウッシッシ

行き当たりバッタリでしたが、思惑通り。これで谷底に下りることができます。嬉しくって堪りませんでした。

”What a wonderful weather it is today !”

降りしきる雨に感謝しました。翌朝早朝から出発になります。この日、Grand Canyonサウスリムのとある公園内のロッジ(写真左)に宿泊しました。これまた予約なしでしたが雨でキャンセル→空室あり、ラッキーこの上ありません。この日、本当に嬉しくて嬉しくてまるで気分は遠足前日の小学生でした。夜遅くまでテント、雨具他のバックパックの準備に余念がありませんでした。あまりに嬉しくて気分が昂ぶり眠れません。
夜遅いのにTVつけて気になる天気をチェック。アメリカで天気はこれです、24時間天気予報Weather Channel 凡人、このチャンネル大好きです。雨量予想(写真左)を見て、自分の目を疑いました。

”ホゲゲ”

”グランドキャニオン・サウスリム物凄い雨量だ。。。”

”ん?まてよ?雨量じゃないぞ、雪だ!し、しかも12inch以上だぁ?(=最高ランクの物凄い豪雪)”

ベッドの布団の中でこれ見てましたが、心配になりガバッと起きあがり、閉じたカーテン開けて外を見て
驚きました。

”うわ〜、ゆ、雪だ。雨が雪に変わっったのか。。。”

Grand Canyonはアリゾナ州に位置します。アメリカでも南に位置している分、暖かいはずだ、と思い込んでいました。しかし、実際はそうではなかったのです。この時はっきり解りました。Grand Canyonはコロラド川がロッキー山脈山麓、高原(盆地)を削ってできた大峡谷といった感じなのです。そうです、今自分はその峡谷の一番上のロッジにいる訳ですから要するに、山の上にいるのと同じことなのです。この場所の高度を見ると2000mくらいありました。。。びっくり。寒いはずです。そうだ、そういえばGrand Canyon高低差1200m以上っていうんだから、それは判ったはずなのに気にも留めてませんでした。明日のGrand Canyonはずっと下りとはいえ距離にして15キロ片道、1200m下るわけで、登った山を下るようなもんだな、そう感じてました。きっと雪山を下るような感じになるんじゃなかろうか?(怖)雪を見て湧き上がってくる不安。堪りませんでした。Riskおかしてまでも旅をやる必要はないけど、逆にこういう機会でもない限りBackcountry Permitは手にできない、谷底に下りるチャンスはないのです。腹をくくってベッドに入り、部屋の電気を消し、真っ暗で何も見えない部屋の天井をジッと見つめてました。
この時、胸の中で感じてました。

”この暗闇に吸い込まれそうだなぁ...”

湧き上がってくる不安









いつしか、グッスリ眠ってしまいました。
翌朝起きると前日夜中にみた同じ場所はこのとおり。本当に一晩で雪、降りも降ったものです...
”2004年、このシーズン、雪見るのは初めてだな...”

暖房で温かい部屋から眺める一面の銀世界は静かに見つめる分には言いようのない美しさでした。

”でも外気温は-5℃、メッチャ寒いよ...”

これから谷底に下りようという自分はこの雪に圧倒され気味、正直

”おい、マジでこんな中、谷下りていけるんか?”

とChickenでした。でも折角、前日キチンと詰め込んだBackpack一式を見るとまたこれが複雑で... 気持ちはグチャグチャでしたが、なんだかんだでBackpack10数キロを背中にしょって外にでました。
綺麗でした。新雪を綿帽子のようにかぶった木々が。こういうのを樹氷っていうんでしょうか。場所は自分の泊まったロッジの部屋のすぐ外。簡単にこんな美しい世界を目にできる俺は、幸せもんかも...と思って写真とっていると、まさにその目の前で

ドサ
サ−ッ

と、物凄い音を立てて
雪の重みに耐えかねた木が折れました。

   (-_-;)

”ホントウの豪雪だな...洒落にならんぜ。”
それでも一応、出発に向けて自分の車の停めてある駐車場まで歩きました。バックパック10数キロしょって。

”雪中ハイキング、いとをかし〜
  この豪雪の中Backpacking、
     かなりおかし〜”

どうせ、もともと馬鹿な旅だ、やっちまえ。出発だ。
状況が状況ですが一応、谷底への唯一のトレイルのところまで移動しようと、愛車カローラ凡人号のところまで行きました。(写真が凡人の車)

”・・・・・・(絶句)”

雪の中に埋もれる我が車見て思いました。

”俺、ホントに谷底いくつもりなのか?”
”おいしょ、おいしょ(雪かき)”

15cmは楽に積もってるよ。Iowaでこれだけの量、雪降られたことないぞぃ。明らかに凡人人生で最高の豪雪。
車動かすの大変でした。エンジンつけて、窓に最高に強力な暖房温風あてて窓を見える状態にし動かすまで30分。
ようやく道路にでました。運転、怖かったです。景色は絶景なのですが、スノータイヤなどもっていない凡人、滑る滑る。朝早いので道路の除雪も行き届いておらず危ないことこの上ありませんでした。
”運転でもこれだけ危険なのに、重いBackpackしょって、しかもこんな中でテントはって一晩こす。誰が考えても尋常じゃねーぜ。うわ、また滑ったヨ...”

景色自体はとても美しいのですが、この現場にいた自分の胸の中では、それを美しいと楽しむ気分より、この雪の世界での運転、雪中Backcountry出発から生じる恐怖の方が遥かに勝ってました。明らかに状況は雪山登山です。
怖いながらも一応向かった先はGrand Canyon谷底へのトレイルの拠点、Bright Angel Lodge。
Bright Angel Lodgeに入ると、すぐ左手にGrand Canyonの谷底にあるPhantom Ranchという唯一のロッジや、ミュール・ツアー(ロバで谷底へ下りていくツアー)、コロラド川ラフティング・ツアーとかを一手に扱っているOffice発見。ここで谷底までの状況を確認しました。

”ああ、頂上のこの辺りは雪だけど、下るとこれは雨になるわよ。谷の上と下の温度差は15℃くらいあるのよ。”
”ちょっとしたアイゼンを売店で売ってるから、それを足につけて下りるのがいいわね。でないと雪で滑って危ないのよ。トレイル自体は幅2mは少なくともあって安全だけど、もし谷底に向けて滑ればお陀仏ね(笑)”
”明日は晴れ”

更に聞きました、ひょっとしてPhantom Ranchはキャンセルで空き部屋がでてないか?と。答えはこうでした。

"YES, we have a private cabin"

天にも昇る気持ちでした。ななな、なんと奇跡が本当に起こりました。夢の夢と思っていた一番人気のPhantom Ranch個室一戸建て部屋GET。勝手なものでさっきまで怖がっていた豪雪に感謝。この瞬間、
”Miracle has happened.(奇跡じゃー)”
と声出して大喜びしてしまい、Officeの人達は笑ってました。もう、一切しり込みする気持ちはなくなりました。引き返す気はありません。

これはPhantom Lodge予約証

これがGrand Canyon Backcountry Permit これなしで谷底進入は不可
更にいいことに、このデスクでPhantom Ranch Cabin予約のみならず、今日の夕食シチュー、明日の朝食と昼のランチBoxも予約完了♪要するに10数`の重いBackpackをしょっていく必要もなりなりました。雪でタダでさえ滑リ易い状況でしたから、これには救われました。これで大幅に手荷物削減に成功。もって行くのはわずか(おにぎり、さんま角煮、ハイチュウ、ナッツ類、水筒、ちり紙、タオル×2、歯磨き洗面セット、氷点下、雨等全天候対応可能な服、手袋、カイロ、ヘッドランプ、デジカメ、三脚)ですみます。重いテント、食料、ガス、コンロ系統を持っていかなくて済む状態になれたのは本当にラッキーでした。さもなくば、全15キロ相当を背負って雪道往復30キロ少々でしたから。いやー、俺って本当にラッキー。
このOfficeの方々、さらにWalking Stuff(ハイキング用の杖)も2つ貸してくれました。これって、特に長距離歩く場合あるのと、ないのとで疲れる程度が全く違うのです。有難い。
んでもって、すぐそばの売店に入って簡易アイゼン購入。激安、10ドルくらいでした。結構、数おいてありましたから、それだけ冬場、雪の中をこれつけて歩いて谷底へいく人が多いと言うことの証なのでしょう。ついでに母親にネックレス一個買っときました。
荷物は全てウエストポーチに軽く入ってしまい、アイゼンつけて、Walking Stuff2本もてば準備完了♪
残りの奴=昨夜準備したBackpack一式は車の中に放置していい訳です。楽なもんです。

※ちなみに全てのBackpackingの旅で凡人の足を守っている超愛用の黒いこの靴、カナダのモントリオールで買った優れものです。白熊マークで知られたSOREL製品ですが、カナダ陸軍御用達の一品です。氷点下30℃までビクともしません。この点、さすがカナダの軍隊は筋金入りです。完全防水、通気性良好、文句なしってところでしょうか。アメリカドルにしても数百ドルしましたが、それ以上の恩恵を受けてきたこの靴には本当に感謝しています。凡人一番の戦友、心の友といえます。
Bright Angel Lodgeを外に出ていよいよ出発!心は躍っていました。あまり人はいないんじゃなかろうか?と思ってましたが、沢山の人が丁度、出発の準備をしてました。驚きましたが、50歳は越えてると思われる年配の人達が殆ど。アメリカ人にはいつも感銘を受けさせられますがこういうところ、本当に凄い。
右見ても、
 左見ても、
正面見ても、雪、霧で真っ白♪

ウハ、こんな経験、最初で最後だ!

日常とはおおよそかけ離れた全ての景色に心躍りました。この正面にはグランドキャニオンが広々と広がっている筈でしたが今日は真っ白♪不安は微塵もなくなってました。今までの経験からこの旅の安全には確信があったのです。必要なのは長距離歩く気力、体力くらいのものでしょう。
ルンルンと心躍らせながら、唯一の谷底へ至るトレイル、Bright Angel Trailを歩き出しました。(実際にはサウスリムからは谷底へは2つ、Bright Angel TrailとSouth Kaibab Trailがあります。この日、South Kaibab Trailは雪で通行止め、進入禁止になってました。)
既に沢山の人がこの日、谷底へ出発した後だったらしく、雪は踏み固められ、Trailは氷、みぞれのような状態でした。

※このような状態ではアイゼンつけて、かつWalking Stuffによる4点支持歩行しなければ、滑って転んで危ないです。谷底に落ちたくなければ雪の時にはそれなりの準備がいるということです。

Snow Fieldに出ていく。それは凡人の長年の小テーマのひとつでしたから、こういう形での雪中ハイキングと言うのもありかな、とご機嫌でした。降りしきる雪の中、
自分のすぐ横、右手は数百メートルの断崖絶壁
恐らく、こんな経験を安全な範囲でできる場所ってそう沢山はないでしょう。写真にするととんでもないトレイルに見えますが道幅はかなり広いです。それでも、高所恐怖症の人には受け入れられない場所であることは確実です。

いやー、気分爽快でした。
こういう景色って、
あったんだぁ。
夢は銀世界をかけめぐる、そんな気持ちでした。今思えば、間違いなく唯一無二の時間、経験でした、この世界は。
トレイルを一歩一歩踏みしみながら、凡人の正面に雪、霞に曇りながら自分の前に悠然と立ちはだかるGrand Canyon絶壁は壮観でした。
途中、前日、ミュールツアーで谷底に降りて一泊した人たちが登ってきました。ミュールってロバよりちょっと大きく、馬よりずっと小さい大人しい奴です。ズラズラと20くらいの大名行列、凡人達Backpackerはこの際、道端でしばらく待たなければなりません。これはGrand Canyonの決まりごとなのだそうです。ま、トレイルの横は断崖絶壁ですから至極当然ですけどね。この行きかうミュールの姿、Grand Canyonの旅の典型的光景のひとつだと思います。ちなみに、このミュール・ツアーも大人気ですから予約は超難関です。5ヶ月前の予約必要です、たとえ平日のための予約であっても。

アメリカにいて思いますが、馬の種はどれもそうでしょうが冬に特に威力を発揮しますネ。雪を彼らはあまり寒く感じない、動じないのです。ですから、馬で雪の中をLong Hikingするのは、アメリカでは一般的なのだそうです。確かに時々、馬に干草背負って旅行しているアメリカのHorse Hikerを見かけます。Snow Fieldを安全に色んな形で攻めてみたいと考える凡人にはうらやましい話です。
ちなみに銀世界のため、殆ど動物見かけませんでしたが一匹の大きなエルクがいました。冬場、彼らも餌の確保は大変なんじゃないでしょうか?エルクは結構大きいです。背高1m以上、全長3mくらいあります。

これとは別ですが、一番感動したのは雪降るトレイル下りながら歩いていてすれ違ったビッグホーン・シープでした。これは一瞬の出来事で写真にできませんでしたが本当にかけがえのない、思い出深い経験でした。かなり雪道を歩いて凡人疲れ始めていた時に、トレイルの先に

『ん?何かいるな?』

と思った瞬間、そいつが怒涛の勢いで自分の方に走ってきたのです。頭にあの威風堂々とした角を生やしたビッグホーン・シープ

”うぎゃ、こいつ頭突きでもしてくるつもりか?”

ズドドドド ひゅううぅぅ〜

と狭いトレイル上、自分の真横駆け抜けて行きました。走り抜ける空気の流れが感じられるくらい近かったです。間違いなく1mないくらいすぐ真横駆け抜けていきました。あまりに一瞬の出来事で十分に恐怖を感じる暇もなかったのを今でも思い出します。走り去っていった後、しばらく凡人、ポカーンと立ち尽くしてしまいました。呆気にとられたあの時の気持ち、忘れられないです。
かなり降りてくると、降りしきる雪がやみました。目の前に
雲の間に見え隠れしながら
巨大な谷が自分の周囲を取り巻きました。なんといえばいいでしょうか、荘厳です。谷と言うよりは連なる山を見ている感じと言うのが適切だと思います。だって、谷の上は雲に隠れてるんですよ。谷の上に谷があって、更に谷があって... 雲

異次元空間もいいところです。
そんな景色見ながら歩くトレイルはきつくも楽しいものでした。
凄いよねぇ...







これが自然の姿なんだぁ







なんだか墨絵の世界みたい
あまりにも圧倒的で言葉失いますよ。ただ、目の前にある光景をボーっと麻痺したような不思議な感覚でもって受け止めながら歩くんです。頭、ハッキリ言って吹っ飛んでいたんだろうと思います。目の前の数百mの断崖絶壁と歩く疲労に。
歩きに歩いて途中で栄養補給

  ハイチュウ はっさく味ぃ ウヒ♪
雪がすっかりやみました。というより、数時間くだってきたもので標高がかなり下がってきたため気温が上がり、雪でなく雨になったのです。雨でトレイルは泥んこ状態。
ベチャベチャでした。でもこういう時こそ
SORELシューズの本領発揮。泥んこ道も足のことなんか、何も気にしなくていいのには助かります。ベチャベチャがまた楽しい。
歩くこと約2時間、既にクタクタです。道が悪路な分、疲れが蓄積してきたのです。なにやらトレイル上に初めてなにやらありそうな看板が出てきました。
”フゥー、疲れたぁ。えーっと、どのくらい歩いてきたのかな?”

と、案内を見ると

”えーっと、サウスリムから7.4`歩いて下りてきたんだな。目的の場所、Phantom Ranchまでぇ、えー、どれどれ.... 8.2`!? はぁ?俺まだ半分きてないのか?洒落にならんばい。”

気分
















ここら辺はIndian Gardenという谷底途中の一大拠点でした。Indian Gardenというだけあって沢山のサボテンが生えていて花もあちこちに咲いてます。

”花だ...さっきまでちらつく雪みながら歩いてきたのに...こうも違うのかぁ”

























この場所、”谷の中にある谷”に囲まれていて風が穏やかで静かな場所なのです。今まで歩いてきた岩、絶壁に支配されていた世界と違ってこの一帯には緑が青々と茂っています。きっと水が豊富な場所なのでしょう。緑があると、何処かしら人というのは心が和みます。
沢山のBackpackerがここで休憩していました。

この人たち、昨晩雨に降られてこのシェルターに駆け込んだのでしょう。今、帰る前に乾かそうとしているところみたいです。Backpackerとしては非常に理解できる行動です。
運良く、雨が止み日が照ってきました。出発時、氷点下5℃だったのに、今、この場所Indian Gardenでは暑すぎるくらいです。物凄い汗かいていたので凡人、Tシャツ一枚になりました。出発してきたキャニオン頂上、サウスリムは高度2000mくらいですが、ここはもうかなり海抜も低い筈、場所柄砂漠気候なので暑いくらいなのです。この激烈な天気、気温の変化は驚くべきものがありました。

”ここで一休みしよぅ”
凡人のお食事はこれです、朝方、早起きして握った握り飯。たいがい、Backpackの時は、どん兵衛か、ご飯もの。この辺は根っからの日本人です。

あ、この場所、Indian Gardenには安心して飲める水がありましたよ。Backcountryに出た時はいつもそうですが、水の確保が何よりも重要です。こういった、蛇口をひねればのめる水があるというのはとても有難いことです。それにしてもこんな谷底に、よく水道ひいてきたもんだと思います。いずれにせよ、とても助かりました。でなきゃ、干上がってしまいます。
食事終えたら、ちょいとトイレ。馬鹿な写真ですがこれがトイレです。アメリカの国立公園は何処でもそうですがこのトイレの整備は素晴らしいと思います。いずれもBackcountryの中に作るトイレですから、基本は日本で言う掘り便所です。でも、感心するのは、中はどこも総じて思ったより清潔さが守られているということ、それと殆ど臭いがしないこと、この2点です。もちろんNational Park Serviceは本物のプロ集団ですからそういったことを実現するための知識インフラを持っているのだろうとは思いますが、この辺りの事は日本も見習ってほしいものです。アメリカの国立公園内で例えBackcountryに出てもトイレに困ることは殆どまずありません。
これまで散々、Backcountryにでてきましたが、野○そキャーせざるを得なかった経験は2回だけです。笑←やったことあるんかいっ、て感じでしょうがBackcountryでは仕方ないんだよ

変な写真で失礼。笑。
と、そのトイレの話のついでなんですが、このBright Angel Trailの途上、道々沢山のコイツが落ちてます。笑。本当に沢山。馬鹿な写真ですが、今後、Bright Angel Trail使おうと思っている人の為にあえて写真入りで紹介しておきます。これは人のものではありません。深緑色していて、臭いは牧場のような、好意的に言えばなつかしいような香りがします。(明らかに表現は好意的すぎます)笑。
これは、道々すれ違うミュール君たちのいちもつです。彼ら用にRanch(馬とかの係留場)が数箇所あって、そこで彼らは用をたすことが多いようですが、なにぶん一日中、仕事してますからやむなく、ということも多いのでしょう。ですから、許してあげてください。
かく言う凡人も実際にはこれにはいい気持ちはしませんでした。Bright Angel Trailの最大の問題点といっていいでしょう。が、彼らはミュールツアーでこの公園一番の稼ぎ頭。しかも人だけでなく、谷底にあるPhantom Ranchでの食事他のための大量の物資を毎日運んでくれているのです。Grand Canyon谷底のライフラインは彼らの働きなしに確保する手段はありません。彼らの果たす役割はかけがえのないものなのです。きっと、Grand Canyonを谷底までおりた人たちはそれを心から理解することと思います。Grand Canyonを想うとき、もっともGrand Canyonらしい光景をイメージすればその中に彼らがゆっくりと歩いています。
Indian Gardenでの休憩すませて向かう先はGrand Canyon谷底 Phantom Ranch この場所から望む谷の淵、サウスリムは写真にも見るように山のようでした。この辺り、林の中を歩くという雰囲気といっていいでしょうか。ちなみにこの辺り、本当はガラガラヘビ、サソリとかがいる筈の場所なのですが、秋、気温は朝夕0度まで下がるので冬眠の時期。冬場、全く問題にならないのです。
その林の間には雨で水かさを増した小川が勢いよく流れていました。小川にはどれも橋なんかは架かっておらず、ヒョイヒョイ飛び越えたり、ジャブジャブつかりながら渡っていくことになります。この豊かな水に育まれた木々は所々、紅葉していました。
やがて、林と小川の世界を抜けると、再度岩の世界に突入していきます。このGrand Canyon内では、この辺は決してスケール大きくはなく、とても狭い谷をなしてます。左右に迫ってくる感じといっていいでしょうか。
そこは、今まさにそこを流れる川で削られゆく場所で風景も全く趣が違いました。
スケールは小さいのですが、とても狭い場所なのでやっぱし別の大きさが体に感じられるのです。親Grand Canyonに抱かれた子供のGrand Canyonといった感じです。
子供のGrand Canyonを抜けると突然目の前がパッと開けて今までよく見えなかったノースリムが見え始めました。ノースリムはサウスリムより標高が一層高く、頂上付近は雪を被っていました。まるで連なる雪山。谷とは思えません。
そこから先は
圧巻で、
谷を下りると
また谷があって
更に谷を下りると...









(写真の中に人が見えますか?)
更に更に谷があって...
その繰り返し
とうとう出発したサウスリムも
見えなくなってしまうのでした。
全くもってこのGrand Canyonというのは









(写真の中に人が見えますか?)
凄まじい世界でした。万華鏡のようにアッチもコッチも表情変えます。









(写真の中に人が見えますか?)
この岩、岩、岩の世界を気の遠くなるような長い時間かけて
少しづつ、少しづつ削ってきた水の流れというのは凄いです。人がどれだけの爆薬とかを使ってもこれだけの岩の世界は作り出せないでしょう。

谷底辺りには比較的多くのシェルターがありました。場所柄、完全に砂漠気候のこの谷底付近は夏場、想像絶する気温になるのです。日陰を所々確保しなければ本当にどれだけの飲み水があってもすぐに干上がってしまうのです。
それぞれのシェルターには緊急用の電話機があります。毎年沢山の人々の命を救ってきました。Grand Canyonがどれだけ凄まじい場所か、簡単には想像がつかないでしょう。いくつかその凄まじさを理解するためのわかり易い数字を列挙してみましょうか。

@年間へりコプター救出出動数、約200
A年間パークレンジャー救出出動数、約千

これらの問題の殆ど全てが夏場に起こります。これらの問題にからむのは年配の人とかではなく、むしろ殆どが凡人のように20−40才くらいの青年、壮年男性だそうです。体に自信があるということで、十分に水分を持ち歩かない、飲まないことがその原因になっているのだそうです。では一体、このGrand Canyon谷底付近というのはどのくらい気温が高いのでしょうか。夏場の気温

B日陰:華氏110F゜=摂氏45℃
C日向:華氏150F゜=摂氏65℃

まさに驚異的灼熱地獄といえます。パークレンジャーさんはその凄まじい夏場の気温に耐えるために、下り3L、登り10Lの水分を取るのが望ましいといっていました。凄い水分量ですね。普通には持ち運べない量です。それらの数字を聞いて、夏場にGrand Canyon谷底に徒歩で行く人は十分覚悟しすぎてしすぎということはない、と感じました。寒い今の時期、頂上付近は雪でしたが実はこのくらいの時期が一番安全に谷底制覇できるのだそうです。問題は寒いことではなくて、暑いことなのです。特に谷底はね。

ですから、この電話線は先にも言ったように人の命を救うのに不可欠なのです。ちなみにレンジャーさんの話ではこの緊急用電話でかけてくる通報の90%が本当の意味での緊急ではないといってました。が、人命救助にこの電話の威力は大きいのです。
さて、先のような小さな川が離合集散を繰り返し最終的に至るのがココ
コロラド川です♪
遂に来ました。正真正銘のグランドキャニオン谷底です。遠かった、疲れ果てました。 でも凡人、遂にやった、という満足感に満ちてました。静かにコロラド川を眼下に収めながら最後のおにぎりをココで味わい、水で喉を潤しました。

”やっぱし、日本人は何処でも此処でもオニギリじゃろぅ”


小さく見えますが20cmはあります

でっかいデッカイ巨石です。ホントにとんでもないです。
その先、トレイル上にはCanyonが壊れて落ちてきた石や、巨石がゴロゴロしていました。
そしてGrand Canyon渓谷内でコロラド川本流を渡ることのできる唯一の橋にまで来ました。シルバーブリッジといいます。(写真には更に奥に黒いミュールたちが使う橋もかかっています。見えるでしょうか?)

お〜、俺も遂にやったぞ。来てしもたなぁ。川幅、50〜100mくらいのもんじゃないかと思います。
この橋渡りながら

”Grand Canyonを渡った”

という小さな喜びが胸に広がりました。橋は写真のとおり吊り橋で、足元は金網で抜けており歩くとかなり揺れます。結構、グラグラゆれるこの橋はスリリングなリアルさを体で感じさせてくれます。目の前には数億年の時を越えて少しづつ少しづつ岩肌を削ってきたコロラド川、そしてそれを抱くGrand Canyon。橋の上から茶色ににごった濁流が荒々しく白波立てて駆け抜けていく姿をボンヤリと眺めてました。この周囲に広がる景色は地球の歴史そのものをその表情の中に刻み込んでるのです。

コロラド川支流に架かる橋ココを渡ってキャンプサイトへ

Bright Angelキャンプサイト 沢山のBackpackerがいます
ここまで来ればPhantom Lodgeまではあとちょっとです。橋渡って先1`ほどのところにある筈。そこへ至る途上、コロラド川本流から数百mの場所に、Bright Angelキャンプ場がありました。Grand Canyon内には2〜3箇所だけキャンプサイトがあります。特に谷底でコロラド川を間近に見れるこのBright Angelキャンプ場は大人気で、凡人の経験では3ヶ月前から予約のFAXしても全く駄目でした。Backpackerとしてはこの場所はたまらない場所といっていいでしょう。
Grand Canyonのサウスリムもノースリムもその一番上の淵はこの谷底からはもう見えません。Grand Canyon内の別の谷との淵と雲に隠れてしまってます。谷底にはパークレンジャーさん達のレンジャーステーションがありました。こんな辺鄙な場所にキチンとしたステーションです。沢山の人の安全を確保してるのでしょう。有難い。

アメリカのどこの国立公園もそうですが、このステーションのように本当のBackcountryに建てられたレンジャーステーションは建物はキチンとしていますが、電気、ガス等は設置されておらず、レンジャーさん達もステーションの中ではガスコンロで自炊し、もってきたランプで明かりを確保してます。もともとNational Park Serviceの人たちはBackpackingは好きでプロフェッショナルな知識技術を併せ持ち、かつ何らかのScientificな専門知識(地質学とか生物学とか)をもった本物のプロですから、彼らにとってそういうことは造作もないことでしょうが、アメリカの国立公園で安全にBackcountryを楽しめるのは彼らのそういった絶え間ない監視努力の賜物です。ちなみに、ここGrand Canyon谷底には電線がひいてあって電気があります(Bright Angelキャンプサイトには電気ありません)。
到着。疲れた足を引きずるようにして、ようやく到着した先がPhantom Lanchです。6時間少々かかりました。15キロを6時間ですから、ま、普通にゆっくり歩いてきたペースといえます。ファントムランチはその名のとおり、歴史的に谷底唯一のランチ(馬の係留場)としてつかわれてきた場所です。Phantom ranch welcomes youという看板がありますが、その前にある石垣に囲まれた場所がまさに歴史ある係留場でその名がそのままロッジ群の名になってます。。全部で10数件の一戸建て個室ロッジが連なっており、奥にはドミトリー(集団ロッジ)ロッジが3棟建っています。その中心に沢山のカボチャ(パンプキン)で飾られた厨房レストラン、売店があります。パンプキンが沢山あるのはアメリカでは丁度時期的に

ハロウィーン

だからです。この大量の重いカボチャ、きっとミュールがもってきてくれたものである筈です。ミュールも楽じゃありません...
厨房レストランの裏手の方に大きな鐘がありました。紐がついていて今でも使われているものです。これは朝、夕の食事の時間を周囲の宿泊客に知らせるためのものなのです。時間になるとカラン、カラン♪と音がなる訳ですがとても”この場所だけ”というった雰囲気、味がありました。その鐘の奥、写真の電気がついている場所は厨房レストランの裏手の方になるのですが、そこにロッジのチェックインがあり、そこで手続きしました。ちなみにどーでもいい話になりますが、このチェックインの時に来た女の子、厨房で裏方さんとして一生懸命に夕食作りに忙しそうでしたが、激烈に可愛い女の子でした。一流のホテルのカウンターにもあれだけ可愛らしい綺麗な子はいません。場所が場所で意外だったから余計にそう感じたのかもしれませんが、アメリカで見かけたもっとも凡人好みの感じの子でした。すぐ後にその子のこと期待しながら”シャワーは何処にあるのか?”とちょっとした質問しに行く辺りは男の性ですがラフな別の若い男性が出てきて軽く対応されたのには、かなりガックシ。シャワーは別棟があるそうな。
えー、話が著しくズレました。。。鐘のある柱の右手にはなんと、なんと電話がありました。谷底だぜ、おい。こんな場所に電話だなんて全く凄い。とりあえず、日本の親に一発いっときました。
”もしもし、あー、俺やけどさぁ、今、グランドキャニオンの谷底におるんよ〜”
チェックインしてもらった鍵はNo.1
おー、一号室か。これが凡人用一戸建て。壁は石がレンガ積みになっており、緑色の屋根しています。裏手には煙突ついてました。静かな一人の場所、嬉しいもんです。長い歩きからくる疲れ、今日はここでゆっくりとれそうだ、とそう感じました。ドアは開いていました。窓のカーテン開くと外にはキャニオンのリムが高くそびえています。言うことありません。素晴らしい場所です。
でも、部屋自体、とっても妙な趣味していると思いました。特に壁に書かれた変な絵は何だったんでしょうかネぇ?太陽みたいな形をしたカラフルな人の顔の絵なんですが、これが部屋でも一番目立つ場所にあって一種異様な雰囲気を醸し出しています。ファントムランチ(馬の係留場)というだけあって電気スタンドは馬の蹄鉄で作ってありました。Functionalには暖冷房完備、電気、水道、トイレ、洗面所、テーブル、椅子...と宿泊に必要なもの全てはあります。谷底という環境にしては出来すぎでしょう。ここまでの部屋は期待していませんでした。日本の山小屋、見習って欲しいものです。こっちの方が数100倍素晴らしいよ。

”さてと、随分歩いて汗かいたし、まずシャワーでも浴びに行こうか。”

と外に出ました。部屋のドアロックして...と思ったのですが鍵がかかりません。ガチャガチャと何回も試しましたがやっぱり駄目。
”おい、どーなってんだ 凡人、ヘロヘロに疲れてんのやから頼むぜ...”
と厨房にプンプンと怒りながら文句言いに行ったところ、先の可愛らしい女の子が登場♪

”え?そうなの?...”

とちょっと困った顔してるのを見ると、凡人にっこり笑って

”OK OK No problem”
『あ、いいよ、大丈夫だから』

と言ってしまう辺り、やっぱし女の子は可愛いと色々得します。Gentleな返事はしたものの部屋の鍵が閉まらないことの、どこがNo Problemなんだか... 問題おおありなんですが、ま、いいやってことで。
別棟のシャワーはとても清潔でした。素晴らしいですね。Backcountryをイメージして出てきたので、こういうのはとても嬉しくなるのです。普通は一旦、Backcountryに出てしまえば水、特にお湯を確保するのは容易ではありません。ですから、シャワーというのはほぼ無理なのです。よく大きなビニール袋にコンロで沸かしたお湯入れて、それにつないだシャワーでやってますが、お湯が十分量でなく、自然落下でチョロチョロと落ちてくる感じなのでシャワー浴びてもサッパリ感が味わえず、かえって十分に落ちていない石鹸の滑りとかが残れば最悪なのです。しかもお湯が一旦なくなれば急激に体冷やされますからね。シャワーはBackcountryでは難しいものなのです。ところがこのシャワー棟ではきゅっとひねれば

ジャァーーー
  サッパリ気んもちいぃー♪

普通にお湯が出てきます。中途半端に冷たいお湯のシャワーは寒い時期には最悪ですが、ここのシャワーは心地よく温かい!長い距離歩いて体に噴出していた汗、これは堪りませんよ、気持ちよすぎます。願わくば、日本の温泉のような大きな湯船があらんことを、とも思いますが、ここはアメリカ、大きな深い湯船なんかありえません。でもこのシャワー堪らなく気持ちいいです。
シャワーの後、レンジャーさんの主催する夜中のプログラムに行きました。レンジャーさんがココ、グランドキャニオンについての話を色々聞かせてくれるのです。先に紹介した緊急コール用の電話。これにまつわる面白話を3つほど紹介しておきましょうか。

@谷へ下りて、登って戻るのに予想以上に時間がかかった。その人がしてきた緊急コール『夕方、上のレストランの予約している、時間の変更をしておいてくれ』 No way ! あちきらはホテルのサービスカウンターじゃねーんだよ!!
A同じく谷へ下りて、登って戻るのに予想以上に時間がかかったお金持ちがいた。その人が谷からかけてきた電話『重要な仕事があってラスベガスからのフライトに遅れるわけにはいかない。谷からラスベガスまでヘリコプターを...』 何百万、何億円積まれてもそんなことはせんぞい!ヘリ出動は人命救助の目的に限る
B夏の物凄い猛暑50度。ある2人の男性が地図もなしに谷に下りた。『谷底、コロラド川まで行こう!』途中、道が分かれていて1人は自信がなくなり撤退、疲れ果てて駐車場の車の中で寝てしまう。もう1人は分かれ道で最悪ルートを選択。谷底まで30`ある方を選ぶ。やがて、猛暑に干上がり水が欲しくてほしくて堪らなくなる。狭い谷底に水が流れているのを見つけそこで水を飲もうと下りていくが、途中、意識を失い倒れてしまう。翌朝、車の中で寝ていた一人が通報、レンジャー隊、ミュール隊を組織して捜査救出開始。6時間後、狭い谷底で倒れているのを発見、へりで救出する作戦。ヘリ来るも、倒れている谷が狭すぎてヘリが近づけないことが判明。急遽、コロラド川本流側からのボートによるアクセスを計画、更に別のレンジャー隊がロッククライムの準備をし、更に周囲の木をチェーンソーで伐採、悪路を切り開いてアクセス。結局、木こり部隊+ロッククライム部隊が人命救出。捜査開始18時間。たった1人の人命救助にかかった費用総額300万円以上。NPSはなんとしても人命を守る。スゲー、彼ら本物のプロだよ

いずれもGrand Canyonの大きさをなめてかかったために起こった珍事、事件です。話自体は30分程でしたが楽しい時間でした。それにしても寒い。吐息が白いです。食事は中心にあったレストランで定刻に宿泊者全員が一緒になって食べます。シチューかステーキを前もって予約しておく必要があるのですが、この日、凡人はシチュー。美味しかった。本当に。ビーフシチューなのですが、よく煮込まれた軟らかい肉、新鮮な小ぶりのジャガイモが特によかったです。他に、サラダ、焼きたてのパン、アイスティー、コーヒー、チョコレートケーキがありました。一緒に食事になった方々と話しましたが殆ど年配の方々ばかり。Grand Canyonのイメージが大きく変わりました。歳の方でも(というか歳の方だから)準備きちんとしさえすればGrand Canyonを征服することができるということなのです。部屋に帰ると、鍵もかからない状態でベッドに直行。明日は朝早いです。下りだけだった今日ですら6時間以上かかったんですから登り一辺倒で帰る明日の道中は凄い時間がかかるに違いありません。レンジャーさんは8時間はかかるだろうといいます。登り15キロ、高度差1200m少々ありますから、経験的には8時間でも結構なハイペースのはずです。
”今日は早めに休んでおこう...”
     グウグウ




  スヤスヤ




    ムニャムニャ




 グウグウ
前日の15`に疲れきって熟睡した一夜でした。翌朝、日の出前から朝食、昨日の夕食と同様、宿泊者全員揃って食事です。パンケーキ(日本で言うホットケーキ)、スクランブルエッグ、ベーコン他をペロリと平らげて出発の時間。
隣にいたのは18人の高齢の方々の団体ツアーでした。ツアーのコンダクターが今日の楽しみ方は3通りあります。とかいって色々説明していました。60歳は明らかに越えた高齢者の方々でもグランドキャニオン上り下りするのは凄いな...と思ってましたがこういったのを利用していたんですね。

時間のあいた時に、厨房レストランに併設された売店みてみました。土産物が売ってあります。また、チョコレートとか、ナッツ類とかみたいな長いトレイルの旅を助けてくれるようなお菓子類もちょっとだけ置いてあります。土産物の中には葉書もありました。ここ、Phantom Runchで売ってある葉書は谷底なこの場所から発送することができます。土産物やの左手にズタ袋が壁にぶら下げられていてその中に書いた葉書を入れておくのです。そうすると、翌日、あのミュール君たちが頑張って葉書を谷の上まで担いで登っていってくれます。その後は、平素どおり郵便物として配送されるわけです。日本とか宛であってもそれは普通の国際料金で簡単にできます。一発、サラッと書いてここだけのハンコを押し、実家に葉書だしときました。
水筒に水を詰めて、
(厨房レストランの前に飲水可能な水のでる水道があります。これは谷底という場所でとても有難いです。水の確保はBackcountryでもっとも大切だからです)
全荷物をウエストポーチにつめ込みました。昨日活躍したアイゼンもこのとおりぶら下げて。ちなみに、このウエストポーチは凡人の愛用しているBackpackの一部で取り外し式になっていてウエストポーチに変化します。コンセプトとしてはメインのBackpackでベースキャンプをはり、そこ拠点に動き回る時にこのウエストポーチを使うといった感じで使います。とっても機能的です。

今日はこれに更に昨日オーダーしておいた厨房からのランチボックスが加わりました。ランチボックスがでかい、でかい。アメリカ人の感覚で量準備してあるものですかが凄い量でした。アメリカ人食い過ぎでしょう。凡人の2食分くらいの量あります。ま、そんなんもまとめて全部詰め込んで出発の時間です。
朝の8時。Phanton Runchを出発。気温は冷えて5℃くらいでした。ある意味、このくらいが歩くのには一番都合がいい気温です。今日は天気のいい一日のようですから、気温がこの後ドンドン上がってくるでしょう。そうなるとかえって大問題です。水が足りなくなることが予想されますから。

写真はPhantom Runchの一戸建てのコテージ群です。右側の写真一番手前にある奴が凡人が泊まった一号室です。谷に周囲を取り囲まれた素朴な雰囲気のこのコテージ、記憶に残る姿です。水が豊富なこの辺りは森が辺りを覆い、サボテンの畑が広がっていました。コテージのはるか上のほうには自分が目指すべきサウスリムが高くそびえています。
そして出発です。Silver Bridgeを渡ってコロラド川を越えました。これから全15キロ少々、登り一辺倒1200m。長距離の山登りといっていいでしょう。それなのに、全荷物はこの程度で済んだのは、Phantom Ranchのおかげです。ああ、思い出深いいい場所でした。谷底よ、サヨウナラ...
前日の雨とはうって変わって快晴。長い道のりの始まりです。涼しい外気が肌に優しく気持ちよかったです。周囲の景色も昨日と違ってよく見渡しがききます。
昨日は疲れて頭ボーっとしながらこの辺り、歩いてきていたからか、周囲の景色が全く違ってみえました。
今日は特に昨日にない光と影の世界。
コロラド川を目に進む3キロほど、別の言い方をすればいわゆるグランドキャニオン谷底をテクテクと歩きました。自分の真横を悠然とコロラド川は流れています。
もう、一生の中で2度とこの光景を見ることはないかもしれません。一期一会、最初で最後です。
さまざまな思いを胸に川の真横を歩きながらジーンと言いようのない満足感を胸に抱いていました。


さよなら、Phantom Ranch
サヨナラ、コロラド川
トレイルはやがて川をはなれ、あたかも天に向かう山道のようでした。
所々では強烈な日に照らされ、噴出す汗が額をつたいました。
でも日陰に入るとその状況は一変、寒い外気が汗にまみれた肌に優しい世界です。
谷底付近は特に朝早かったからか、この

陰陽

の世界が凡人の目には
新鮮でした。
歩いてきたトレイルを見返すと雪を被ったノースリムが連なり、そして逆にこれから歩くトレイルの先を見ると
サウスリムが光の彼方で輝いていました。登り一辺倒のトレイルに疲れボーッとした頭に周囲の美しい光景を楽しむ余裕は殆ど残っていませんでした。
昨日見たはずの光景も、今日は晴れていてなんだかまた、違って見えるのです。
ああ、この大きな世界の中を








(写真の中に人が見えますか?)
自分は微力ながらも











(写真の中に人が見えますか?)
一歩一歩踏みしめて歩いているのか...と思うと









(写真の中に人が見えますか?)
ちっぽけな自分の中にも力のあることを実感できました。
広大な谷を目に心も大きくなって、時折、凡人ダッシュ♪
高く上った太陽は容赦なく辺りを照らしてます。
グランドキャニオン



谷とか言うけど
それは、そういう名前があるから谷だ、と思ってみてるだけのことであって
恐らくこの地に最初に到着した西洋からきたスペイン人たちは最初、ここを谷とは認識できなかったのではないでしょうか?
自分は歩きながら巨大な連なる山としか感じられませんでした。
かなり歩いてくると岩の連続の世界はやがて豊富な緑に囲まれ始めます。

あやしい風貌してますね。

超巨大アロエ。帽子と比較すれば解りますね。

ヨシュアツリーに似てますが、それよりかなり小さいです。
中間地点のIndian Gardenです。見渡すと妙な植物があったり、黄色い花が咲き乱れていたり... Indian Gardenにはこういった緑があることと飲み水があることでゆっくりした感じになります。
凡人、休憩。Phantom Ranchでもらっていたランチボックスでパワー補給。それにしても昼ご飯の量にしてはが多すぎるくらいです。全部はとても食べられません。水の補給もすると
再度出発。登り道、残り半分です。
疲れでボーッとした頭に今でも
谷の稜線は強い残像を残しています。心の記憶は写真の記憶とはまた違います。歩きながら朦朧とした頭に蜃気楼のように心に微かに、でも強烈に残る景色。
途中、例によってミュールが凡人の横をすり抜けていきます。彼らは綺麗に隊列をなし一歩一歩とても静かに歩いて行くのですが
歩くのは実に確実で早く。景色をボンヤリ眺めたりしながら休み休み歩く凡人などはアッという間に引き離されていきます。気が付けば彼らはもう遥か先の見上げるような絶壁を這うように歩いていました。









(隊列をなすミュール達、見えますか?)
凡人もその絶壁にさしかかります。昨日は雪と雲とで全く目にできなかった景色、壮観です。その絶壁を良く見ると、その上の方には
飲み水とトイレのある休憩所があって
沢山の人がそこで










(休憩所とその周囲の人たち、見えますか?)
休んで壮大な景色を見晴らしていました。



”デッケー、景色じゃ”







(休憩所とその周囲の人たち、見えますか?)
目の前の岩だけ見ていると解りませんが
フと自分が歩いてきた後ろの方を振り返った時に自分のやってきたことが
美しいこのグランドキャニオンの風景とともに広がっているように感じました。
トレイル頂上付近は昨日積もった雪が残雪となって残っていて急に寒くなりました。
ああ、早朝出発してからもう日が傾き始め、谷には影ができ始めています。
急がなければ日が暮れてしまう...と
雪道を急ぎ、ブライトエンジェル・トレイルを登って
グランドキャニオン入り口に差し掛かった時には既に日暮れ。ゆっくり景色を堪能しながらの登り9時間の大奮闘

”やったー”

それが与える感動は、このたそがれゆくトワイライトとともに静かに静かに心に染み渡り、グランドキャニオンの大きな大きな景色のように胸いっぱいに広がりました。目の前に広がるこの景色に、様々な昨日からの心の中の記憶が走馬灯のように重なった時に初めて、凡人はグランドキャニオンに面と向きあえたのだとと感じました。
馬鹿ですね、涙でそうでした。


戻る