Backpackの凡人



アリゾナ隕石孔 そこは地球上の宇宙か?!

2004年秋〜冬、馬鹿な大移動でした。Iowaからはるばる西海岸San Franciscoまでの大移動。その帰り道です。帰りRenoを経由してシエラネバダ山脈を越えて行くのがIowaに行くために一番の近道なのですが、Reno近辺は大雪。I-80はReno近辺で通行止めになってました。仕方なく、南に大きく迂回してLos Angelesをかすめる形でLas Vegasの更に南を凡人カローラ号は突き進んでいます。
この辺り、アリゾナ州、空気が乾燥していてすみきっています。アメリカの夕日です。
翌朝、ちょっと曇ってましたがアリゾナの大地は目の前にあくまで広大に無限に広がっています。
そんな世界を駆け抜けるハイウェイの運転は爽快です。飽きるほどの爆走が延々続きます。Las Vegas南を通過してGrand Canyonの南に位置するFlagstaffの町あたりは少々の起伏がありますが他はいたって平坦です。でも、この辺り平坦に見えますが結構な高度がある場所です。
一路Iowaへ向けて帰る途上、ハイウェイを下りてちょっと小さな道へ寄り道。

Meteor Crater メテロ・クレーター
別名バリンジャー隕石孔
そしてまたの名はアリゾナ大隕石孔です。
その小さな道はまっすぐと平坦な赤い大地を進みます。しばらく進むと目の前に赤い地面の盛り上がりが見えてきました。
近づくにつれてだんだんと大きくなってくる訳ですが
やっぱし物凄くこれ巨大です。
差し渡し幅1.5kmあります。
すぐ傍の駐車場に車を停めて
このクレーターに関する博物館が入り口になっていました。博物館はとりあえず素通りして、
クレーター見ようと先に進むわけですが、この場所って赤い大地が、見渡す限り
平坦に広がっています。本当に広大な台地です。むき出しの地球って感じですね。そんな中に、突如として
ボッコシ穴

わかっててもデカイ。直径1.5km、深さ170m(ビル60階建て相当)、1周4キロ弱。ここにフットボールスタジアム作れば20面できて同時に200万人を収容できる施設サイズになるそうな。世界第2の大きさを誇ります。これだけ風化されることなく綺麗に残った隕石孔は他に類がないそうです。
右にも左にもクレーターの淵が険しく広がっています。ちなみにこれはわずか直径30m程の流れ星のなせる業と考えられているそうな。たった、30mの物体がこれだけの巨大なモノ作るんですね。驚異的です。でも、その流れ星の衝突時の推定速度たるや
秒速18キロ少々=時速約7万`
ちなみに秒速5キロで6mmの鉄球をぶつけると3000℃以上の熱が生じることがNASAの実験でわかっています。脅威の速度が脅威の爆発を生むわけです。ちなみにこの衝突で少なくとも半径160`は数千℃にさらされ一瞬で死滅したと考えられています。
ちなみにこの隕石孔作った当の隕石は衝突で生じた熱で瞬時に気化し、地中にはバラバラになったものがわずかしか残ってないそうです。高熱で周囲に瞬時にダイヤモンドとかいろんな鉱物ができたことがわかっています。ちなみにレプリカの隕石ですが、ま、ハッキリ言ってメッチャ硬く、重い鉄の塊っちゅう感じですな。それが隕石。とんでもないパワー持ってるんですね。隕石はつまり、流れ星な訳で目で平素見ているあの流れ星はとんでもない代物な訳です。
そんな隕石の作った大きな穴を色んな場所から見るのが、この場所のやり方です。昼まで待てば、この孔の底までツアーで下りれるのですが、今回はそんな暇なし。
早くIowaに帰らないといけませんから。
この辺を歩く足元は間違いなく、隕石衝突時に巻き上げられた土です。ま、はっきり言ってボロボロでした。地球にまだ大気のなかった時代、隕石は邪魔されることなく沢山落ちてきたことでしょう。当時の地球の表面はこんな世界が広がっていた筈です。
40億年前に起きたと考えられている「全海洋蒸発事変」という地球大変動仮説を唱える考古学者がいるのだそうです。NHK specialでやってましたヨ。まだ大気もハッキリなかったと考えられている時代の話です。地球はその昔、長い歴史の中で巨大隕石を何度も引き寄せる「隕石重爆撃期」を生み出すことになっりました。その最大のものは直径400キロ。それほどの巨大隕石が衝突すると、衝突熱のために岩石そのものが蒸発して蒸気となり、地球の隅から隅まで全体を長期間覆うことになります。この岩石蒸気の温度はじつに数千度。その熱のために一ヶ月後には、すべての海洋が蒸発してしまった筈です。生物、生命はそれを乗り越えてきたわけです。地球はその後も苛酷な変動を繰り返した星であり、そこに生きる生命は、地球変動による度重なる絶滅の危機をくぐり抜けなくてはなりませんでした。そうした大変動をくぐり抜けるたびに、生命は進化の階段をかけ上がってきたことでしょう。地球の環境変動に対抗するべく、生命が40億年に渡ってあみ出し続けた新たな機能の果てに、私たち人間がいるのです。その意味で、隕石衝突も含めて地球上のあらゆる変動は、私たちを生んだ原動力なのです。
ちなみにこの中心部を見ると
小さな採掘跡とその名残の建物があります。1800年代後半にこの孔を見つけられ、当時、これは死火山か?とかとも考えられてきました。一人の科学者がこれは火山ではない、隕石孔だ!と固く信じていました。バリンジャー博士です。1903年、この地の隕石の存在を信じ、この場所を買占め採掘開始。1929年、地下420mまで掘り進め硬い物体に採掘機のドリルがぶち当たり機械は壊れてしまいます。資金は底をつき、25年以上にわたる採掘は失敗。まるで徳川財宝を信じるおっちゃんみたいな感じでだったのでしょう。後の研究で、バリンジャーさんの仮説は正しかったことが科学的に証明されています。その名を称えてバリンジャー隕石孔とか言ったりするわけです。
流れ星、隕石にロマンをかけた科学者バリンジャーさん、実際には儚く散った訳ですが、何かを妄信して一文無しになるまで突き進む辺りは精神的には本当の研究者だったのでしょう。そういった姿勢は凡人も見習うべき点があります。好きなことをやっている時、その人は幸せだった筈だからです。
この巨大な孔にかけた男のロマン

笑えますが、考えさせられもする、とこういう訳です。
ちなみにこの隕石孔よりも遥かに巨大な隕石孔の存在がユカタン半島すぐ沖合いのカリブ海で明らかになっています。そのサイズについてはハッキリとはしていませんが、一説ではここに落ちた隕石は直径10キロ程の巨大なものであったのでないか?と考える人がいます。
それが6500万年前の恐竜絶滅を含む、地球上の動植物70%の死滅を起こしたのではないか?と考えられているのだそうです。恐竜って本当に隕石で滅びたんでしょうかね?だとすれば、一発の巨大隕石が再度、地球を巨大な火の玉にし人を一瞬で絶滅させてしまうこともあり得る訳です。



映画『ディープ・インパクト』に描かれた彗星衝突による地球滅亡の大パニックはあり得なくもない話なのです。
ちなみにクレーターと言えばこれ、月でしょう。
メテロ・クレーターの大きさが赤丸くらいですから、月のクレーターがいかに巨大か、わかりますか?大気のない月の環境は隕石を容易に受け入れる状態なのです。

宇宙関連で人口探査機カッシーニが脚光を浴びています。カッシーニとその子機ホイヘンスが土星周囲の衛星タイタンの写真を次々に明らかにしているのは有名ですが、その直前に別の土星の衛星イアペタス表面も撮影しています。イアペタスには超巨大な山脈(2005年現在知られている太陽系最大の山脈)や超巨大なクレーターの存在が知られています。くの長巨大なクレーターの淵の高さはなんと15000mくらいあるらしいです。

このメテロ・クレーターはそういった知識もあわせて地球が宇宙の中のひとつの惑星でしかないことを思わせてくれます。このクレーターを見つめる時、宇宙を思うのです。
そう、確かにこの場所は地球上でもっとも宇宙に近い環境なのかもしれません。実際にここは歴史的にもNASAの宇宙飛行士の登竜門であり、
日夜練習してきた場所なのです。アポロ計画当時、特に、宇宙パイロットはここで厳しい練習を積んで宇宙を目指したのです。
ニール・アームストロングはアポロ11号(サターンV)の司令官を務め、人類で初めて月面着陸を果たし、月面に降り立ちました。
1969年7月20日のことです。
地球にいながらにして宇宙を感じさせてくれる、この場所は深い感慨を与えてくれることでしょう。
この日、寒く冷たい風が容赦なく凡人に吹きつけてきて、それを肌で感じる時

”地球も宇宙の中の一惑星でしかないんだな...”

などと、とり止めもないことを静かに思うのでした。


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