Backpackの凡人

アメリカに留学して最初の1年、ただの1回も旅行もせずにいました。
2年目の春先にボスに 『今年は研究もいいが、しっかりと休みも取りなさい。』 と
言われました。今、思えば留学1年目は本当に研究浸りっきりでした。
それまでChicagoには3回程、4時間のドライブで行ったことはあったのですが
実際にアメリカで4時間以上の運転をしたことはありませんでした。
ここで紹介するKentuckyへの旅はそんな自分が初めて単独で長距離ドライブを自分の計画のもとで実行し
そして、その後FedExにもまけない長距離運転をできるようになる出発点となる旅行でした。
この旅自体、特に目立ったものはなかったのですが自分にとって最初の長距離運転、
連続8時間ドライブでとても記憶に残っているのです。


留学2年目の春先、初めて3泊4日の休みをとってTripに出る計画を立てました。Kentuckyに行こうという計画です。Mommoth Cave National Park がその中心だったのですが、その際に少しだけKentucky州を回りましたのでその紹介をここでしておきましょう。
最初に、Ohio州経由でKentuckyに入りました。この2つの州境にはCincinnatiという大きな都市があります。ちなみにCincinnatiの夜景は独特の美しさがあります。特にCincinnatiを南のKentucky側から見た時の美しさは抜群です。Yankeesの松井は全米でもここの夜景が大好きで、この場所でよくBBQするそうです。きっと松井もこの景色に魅了されたはずです。
Kentucky州に入ります。途中、8時間の運転にヘコタレながらようやく、といった感じでした。きつかった。まだまだ、長距離運転に慣れていなかったので途中何回休憩を取ったかわからないくらいです。
Mommoth Cave自体は予想も出来ないくらいとても楽しい場所でした。その洞窟探検の後、公園にあったトレイルを少しだけ歩いてみました。
洞窟中心の公園ですが、なかなか美しい緑が目につきました。
あるくと、途中、こんな場所に出ました。なんと、自動車の道路が川で完全に途切れているのです。んでもって、車を渡す方法としては、こんな感じの船(?)しかありません。アメリカでこういう形での動く橋はここだけだそうです。そりゃそうやろ、効率悪すぎる。
Mommoth Caveの園内の小洒落たロッジに泊まったのですが、朝方、芝生と緑の木々がとても美しく、涼しいのも手伝って早起きの爽快さを満喫できました。
この週末、アメリカの独立記念日で各家々はこんな感じでアメリカ国旗を誇らしげに飾ってました。広い緑の芝生に白い家、典型的アメリカの家がこんな感じです。
途中、Birdstownという町によりました。この町はステファン・フォスターが生涯愛することとなった町です。Stephan Foster the Musicalという奴が目玉らしく、ちょいと見て楽しみました。ステファン・フォスター?って感じですが、草競馬とか、ケンタッキーフライドチキンのテーマソングとかがあります。聴けば

『ああ、あの曲だ!』

という感じの知っている曲の連続でした。終わりには独立記念日の花火。
このBirdstownもですが、その周囲もとても綺麗な場所が多くてのんびりした気分になります。
ことにこのKentucky州で強く印象に残ったのは、緑の広大な芝生と沢山の馬です。
馬はあちこちに牧場で飼われていてここではとても一般的のようです。犬より沢山いるに違いありません。小さな子供も、こんな感じで馬に乗ってました。
このケンタッキーは世界ダービーである、ケンタッキーダービーの本拠地なのです。日本でいう北海道みたいなもんでしょう。サラブレッドが何処にでもいる感じなんです。
馬の歴史を紹介している博物館とかありました。あら、天皇賞だ。ここは日本か?笑
馬を使って人が戦っていた時代、ことに中世ヨーロッパの騎士はこういういでたちをしてたのでしょう。ギラギラに光る鎧にしばし、かつての中世ヨーロッパへはるかなる思いをはせてしまいました。
馬は、その頃から人と一緒に生きてきたのです。堂々としたその姿に敵もひるみそうだったに違いありません。
馬は誇り高い性格の持ち主です。人よりもプライドが高いと聞きます。なるほど、サラブレッドたちはかっこよかった。
そんなサラブレッドの世話をしている人たちがいます。この人は、ケンタッキーフライドチキンのカーネルサンダーおじさんです。違った... 蹄鉄、うまのヒヅメをつける人です。蹄鉄つける作業見たことある人って少ないでしょうからちょっと見て見ましょうか。

こんな風に蹄鉄を熱で真っ赤に熱して...
『ジュジュ、ジュ〜〜〜〜〜』

おじさん見えくなってしもた。笑
Kentucky州の誇りとする、この人、リンカーン大統領。この地、アメリカで民主政治を高らかに宣言した誰からも尊敬される人です。アメリカのDemocracyの精神を語る際にいつも手本にされる人です。
これは、そのリンカーンが生誕の地です。このパルテノン神殿のような建物自体は、後世に建てられたものです。この中に、風化しないようにリンカーンの生まれた家が保存されてます。周囲は森だけで、すぐ傍に小さな泉が湧きだしています。(そこの泉の水を彼らは飲んで生活していたはずです)他には本当に何にもない場所です。
これがリンカーンの生誕の家です。とても小さな小さな馬小屋程度のものといっていいでしょう。どれだけ貧困であったかは想像するにたやすい。丸太と泥のしっくいで作られています。広さは5m×10m、その程度です。
その場所から少し離れたところ、Hodgenvilleにはリンカーンが子供時代を過ごした家があります。前の誕生の家よりも少し大きめですが、単なる小屋であることに何のかわりもありません。その当時のリンカーンがここで何を見て、何を感じてきたのか...
この場所自体は、今では緑に囲まれた美しい場所といっていいと思いますが、かつてもそうだったのでしょうか?それは違うと思います。かつて、リンカーンがこの場所で見たのは、きっと売られていく黒人の奴隷であったはずです。Kentuckyという州はかつての北部同盟軍と南部同盟軍の境界に位置していました。北部の白人が南部で手にいれた黒人奴隷に手錠をつけて売りに行くために、きっとこの傍の旧道を歩いていたはずです。
リンカーンはこの場所で生まれ、育っていく中で、そういう景色を日常の光景として目にしてきたでしょう。そして、その日常たる光景に子供ながらに疑問を感じ、人の人としての生き方を深く考えてきた、そうに違いありません。この場所、そのものがそういう考えを生む土台になったハズだと思うのです。

やがて南北戦争の際に北部連合軍の総司令官として南部軍に勝利を収め、その後、合衆国大統領となった時に戦いで疲れきった民衆に向けて彼が高らかに宣言した言葉は彼がここで見て、経験してきたものの全てを昇華させたものでした。

"The government of the people, by the people, for the people shall not perish from the earth."
Kentucky州
ニックネームはBlue Grass Stateです。
その名の通りの場所です。
この場所で何処までも何処までも広がる

Kentucky Blue Grass

そこにはアメリカの精神が宿っています。


戻る