Backpackの凡人



Rockyの山々 いつ来ても違った表情を見せてくれる素敵な場所です。

2005年1月、アメリカの冬です。Iowaはあまり雪が降らない場所ですが、この冬、特に雪なし。先年末Snow Snoeを手にした凡人は雪を求めて週末ドライブ。
西へ西へ、ネブラスカを抜けてコロラドに入ります。コロラドはアイオワやネブラスカのようないわゆる農地極端に少なく、広大な牧場が広がる場所です。
凡人もそうでしたが始めて運転する人は

『ここは、何にもねーな』

と、怖いくらいの感動?恐怖? を感じると思います。凡人慣れてなんとも思わなくなってしまいましたが...
冬、1月なのに雪もなく、気温もとてもmildな日が続いてましたので牛達も牧場に放牧。普通は厩舎に入って、サイロの牧草で一冬越すはずですが今年はそれだけ暖かいのです。
牧場も何にもないなりにまだ、春、夏の方が緑が目につき景色も優しいですが
冬はやっぱし、どこか景色に色がなく物悲しいですね。でも、この牛達、一体どうしたんでしょうか?見事な整列ぶりは、軍隊の行進を思わせる壮観さで、ある意味、笑える、驚くべき景色でした。たまたま、ドライブ中、適当に写真とったら一応、写真撮れててラッキーでした。一生に二度とこんな景色みれないに違いない。
西に1200`、10時間少々の連続運転。凡人、よく来ます。コロラド州はロッキー山脈です。ここなら、どこでも高度2000m以上ありますから、雪がある筈です。
流石のロッキー山脈ですら、今年の冬はこのとおり、乏しい雪。地球温暖化は本物でしょう。アメリカも京都議定書に調印して少しは環境問題を考えて欲しいものです。アメリカの自動車会社とかは京都議定書に調印されると大打撃を受けるので大反対してるので、アメリカは決してこの問題を受け入れないでしょう。アメリカはそういう国です。国益一国主義。
この週末、ロッキー山脈の中でも、Veilに立ち寄りました。北米最大のスキー場です。Veilの紹介は別でやります。
翌日、早朝からVeil離れて、4時間東へドライブ。デンバー経由して少し北上すると
結構綺麗な町があります。Boulderの町です。ここはコロラド大学のある、学園都市です。特に、航空工学、宇宙工学、環境科学が盛んで宇宙に一番近い都市とかいうキャッチフレーズをもってます。この日、朝日の出前、かつ曇りでしたから薄暗くその美しさが伝えきれませんがBoulderは凡人の知る限り、アメリカでも最も美しく、平和的な雰囲気のあふれる町といって過言ではないと思います。特に町の建物が薄茶色に統一されている点は特記すべきものがあります。
ちなみにこのボルダーの町にあるコロラド大学は宇宙探査機カッシーニ、その子機ホイヘンスの画像解析を担当している部署です。2004年冬までにカッシーニは土星衛星タイタンに窒素とメタンの大気、氷の世界、メタンの海等の驚くべき世界を次々と明らかにしています。メタン+窒素に紫外線、雷等の外部からの力が働くと様々な有機物が化学合成されることがわかっています。2005年の今、その有機物がメタンの海に抱かれて独自の生命が誕生しているのではないか?と研究探査がつづいています。2008年まで土星の周りでの探査は続くそうですから次々に驚くべき研究成果が発表されることでしょう。そのうち、このBoulderにカッシーニ関連の博物館ができるのではないでしょうか?
これは春先にちょっと立ち寄った時の写真ですが、丁度なにかのフェアがあってました。芝生の緑がとても眼にまぶしく、子供達が大喜びで
遊んでいたのを思い出します。

そうそう、話をちょっとかえます。
この場所、高原なのですが、アジアの高原地帯に歴史に名高い道があります。シルクロードです。以前、NHKスペシャルで初めてシルクロードが紹介された時、多くの人がその音楽と共に胸打たれました。音楽シルクロードは喜多郎さんによって作曲されたもので、喜多郎さんはアメリカで数々の賞を受賞し愛されてきました。その喜多郎さん、この町、Boulderにすんでおられます。何処に住んでるのかは住所までは知りませんがこの辺にいるわけです。『静かな環境と自然が豊かにある、そういう中で曲を書いていくというのが自分のスタイルです』と言葉にする喜多郎さん、シルクロードを愛した喜多郎さんに愛されるこの町Boulder、確かに凡人もいい町だ、と思います。そういえばマラソンランナーQちゃんこと高橋尚子が高地訓練をする場所も、ここBoulderです。いい場所と言うのは誰でも同様に感じるのですね。凡人がアメリカで数見た町の中でも『いい町だ。』と、そう思えた町は2−3箇所しかありません。そのうちでもここBoulderはトップクラスの住んでみたい場所です。
ちなみにココに寄ったその時、丁度Backpackを手に入れて最初のBackpackingの練習をしました。それがRocky山脈でした。Backpackはもっていたけど、鍋、食器もっていなかったので、Rocky mountainを見据えるこの町で道具をそろえるべくREI(アメリカ最大のOutdoorチェーン店)に立ち寄ったのです。そこで、こいつを買いました。昨日のことにように思い出します、たかが鍋ひとつにとても迷ったのを。
Boulder周辺は高度1600mほどの高原で普通は晴れていることが多い場所です。年間、300日は晴天で知られるこの町、不運にもこの日、曇天も曇天。というか、これ雪雲です。
Boulderは高度が高く、爽快な気候で知られていて夏場、とてもスポーツが盛んです。夏、この辺りでは沢山の人がサイクリングやハイキングなどをして楽しんでいます。この高原は特にサイクリングのメッカとされてます。
でも、冬のこの時期、流石にさびしい雰囲気ですね。緑がありません。
Boulderから更に北にいくと、大きな岩が目につくようになります。この岩、とても記憶に残る岩です。凡人がアメリカで巨石を目にした最初の奴で圧倒されたのを思い出します。当時これを見たとき慣れない長距離運転でヘロヘロでしたが、眠い目をこすりながら、でもビックリ、ポカーンとして見上げながら運転しました。去年の春、初めてのBackpackingの旅。
先に進むと、雪雲の中に入ったようで煙って先の方がよく見えません。
そんな中を道路は山の中に向けてどんどんと進んでいくのです。
曇って山並みがよく見渡せないのは残念でしたが、雪はここ、ロッキー山脈の中枢に来てすら少ないのには少々ガッカリしました。
雲の中、五里夢中とはこのことで、この先、例え先に進んでもSnow Shoeを使ってBackcountryに出た場合、道を失い迷って遭難...なんて可能性もあるかもしれん、と怖くなりました。
もし、完全に霧で覆われたら方位磁石使ってもSnow Snoeは危ない可能性があります。
最悪の雲の状態の場所を通り過ぎるとロッキー山中をに入ってました。道路のすぐ横を
川が流れています。思い出しました。今は雪を被ったこの川は春先来た時には、雪解け水で水量が増して本当にサラサラと爽やかな音を立てて流れており、初めてBackpackを手にして出てきたアメリカの自然に心打たれたのを。いいようもない喜びを自然に感じた最初の瞬間でした。この川の音を聞きながら周囲の山を見回す時、心が洗われたあの時間。

更に心によみがえりました。Backpackingというのは日本で考えるような安いだけの旅行では決してなくて、非常に洗練された美しいスポーツだ、と感じたあの時のことを。


  既視感
  Deja vu

そのシーンの遭遇時には、言葉なく、ただ
ぼんやりと立ちつくす・・・そんな時間。持てて幸せです。
そういった、かつての生々しい心の残像を胸に、この川とともにランデブー
広大な
ロッキーの山
岩肌
これでもか、というくらいに
凡人、そして凡人カローラ号を
圧倒的雰囲気でもって取り囲みます。
それはそうと、
ココまで来てすら少ない雪には流石にがっかり。Snow shoe試しに来たんだから雪なきゃ始まらんです。
ま、それでもこれまで来た際に目にした景色とは違う冬の雰囲気は
それはそれでひとつ。
岩肌にのった雪というのはなんだか綺麗です。
雪と雲 山を白い世界が覆い尽くそうとしている、とそんなふうに見えました。
春、早朝
そして至る場所がEstes Parkの町
何度来ても、いい場所というのははいい。
上段:春  下段:夏
これまた

 Deja vu
Estes ParkはRocky mountains national parkのGate City、結構大きな町です。リゾートタウンの雰囲気があります。
そうして遂に到着、Rocky Mountains National Parkです。
Snow shoeする場所は、コロラドには星の数ほどもあるのに、ワザワザこの場所を選んだのは理由があります。それは今年の夏ににらんだ計画です。

”最高峰Longs Peakを登ろう”

これにつきます。パークレンジャーさんにその情報を直接聞きたいとわざわざ思ってきたのです。時期が時期でお客さんが少なく、レンジャーさんは暇ひま。とても懇切丁寧にLongs Peakのことを教えてくれました。更に
1冊の本を購入。ここにLongs peakの全ての情報が刻み込まれていました。Longs Peakはアメリカで最も人気のある山の一つです。計画さえ十分にすれば安全に登れることで知られる高度、4000m超の山。今年は絶対にやります。ひとつの目標を立てて準備をする、これは何でもそうですがとても楽しいプロセスです。
さて、目的は足したらロッキー山脈国立公園を楽しみます。それにしても
雲が眼前に厚いのは気になります。これがもっと下におりれば何にも見えなくなっちゃいますから。
不思議なものでDeja vuをともなう場所というのはいつも一緒のようで、意識しなくても写真も同じ場所で撮ってます。
やがて道路はどんどんと凡人を雪の世界にいざないます。
Snow Fieldというのは爽快な世界ですが
危険がともないます。

”あれ?道がガチガチに凍ってるぞ?”

と思っていると、この先、通行止め。道を間違えてました。
ずーっと目的の場所に逆戻り
何処となくさびしい冬景色を進んだ先に
整然と森が広がっていました。
レンジャーさんによると、この先の辺りが一番安全なSnow shoeingに適しているということだったのです。
やがて、氷河地形に囲まれた場所に来ました。ココが目的の場所ですが、曇りが邪魔して景色はロッキー山脈にあっては平凡です。
ちょっとがっかりでしたが、安全な場所からSnow shoe始めなければマジで道に迷って遭難するかもしれんから、しゃーない。

安全第一

ここなら、Snow shoeのためのトレイルがキチンと踏み固められているそうです。
んでもって、目的どおり出発。確かにクロスカントリーもできるくらいにシッカリとトレイルは踏み固められてました。逆に言えばこれだけシッカリしたトレイルだと、何処でもどんな雪の上でも歩けるというSnow shoeの真の醍醐味に触れられません。でも、今日はまだSnow shoeでどのくらいのことができるのかを知るためのテストみたいなもんです。安全第一で出発。
出発時、とうとう雪雲から雪がちらつき始めました。吹雪にならなければいいが,,,と案じる気持ちもですが、降り積もる雪は
よく見ると実に綺麗で
自然の造形にはいつも感動させられます。
駐車場には別の子供連れ家族がいました。この子、1歳弱ですが、Snow Fieldにデビューするんですね。アメリカ人はこの辺、とっても積極的です。1歳くらいであれば山の頂上から、雪の上、海の中まで子供を連れて回りますよ。日本人にはなかなか真似できないです。
でも、それだけアメリカ人は自然を楽しむ方法を知っているということなんです。彼らのそういった姿に学ぶことは実に多い。
さて、トレイル出発です。
確かにトレイルは非常に整備が行き届いていて目印もシッカリしていました。
この辺り、氷河の削った跡、広大な凹地に広がる森の中を
歩き回ることになります。
歩いても歩いても
森、森、森

むぅー、安全だけど、面白味がない。
とあるところまで来ると森が途切れてます。
広がりあるこの場所にトレイルはありませんが見通しが効くので迷って遭難という危険もありません。トレイル外れてこの広がりある空間を歩き出しました。

”なにかな?これは?”

と思って歩き続けていると
ここは湖の上でした。
まさにガチガチです。ガリガリ音を立てて歩く場所もあれば、新雪を被った凍った場所も湖にはあります。
湖の上にはどんよりとこれ以上ないくらいに曇った曇天が広がっていて
湖の上を覆っていました。湖はまさに雪色一色♪真っ白です。あんまり白いのでこれだけ曇っていてもサングラスかけてないと、ものが見えなくなります。
湖の脇の方を先に見かけた子連れ親子が歩いていました。
凡人は湖の中心部へ
今の季節ででもなければ湖の上にはいけない訳だし、氷に割れられると困るけど...
少し歩いてみるか、っちゅうことで出発。新雪の歩き心地最高でした。まさにフカフカの雪です。
湖の周囲を雲に隠れたロッキーの山々が取り囲みました。とても静かな世界です。
 雪景色

  広がる足元

   これ湖

 バキッと割れるな

     むぅー 怖い


    by 俳句の凡人
雪で下の氷が見えない、どのくらい厚いのか見当もつかないのはちょっとしたスリルです。
あ、さっきの親子もついに湖の上を歩き出しました。
キャッキャッ

と、子供が喜ぶ声が遠くから聞こえてきました。静かな平和、なんともいいようのない世界です。
子供も、見知らぬ世界を目の前にして訳判らないなりに、なにか感じてとっているのでしょう。
森と湖だけでは変化に乏しく寂しいのでもうちょっとChallengingではあるけれども変化の多い場所を目指しました。ここはBear lakeという湖近辺から始まる別のトレイルです。
確かにこのトレイルは冬のこの時期、トレイルとしてきちんと整備されてはおらず
スノーシューで歩いた前人の残した跡をおいて他、道らしきものすらなく、自分が何処に迷い込んでいるのか判らなくなるような世界でした。
トレイルではなく雪の上を適当に足跡おって歩いているだけですから、これがどこに到着することになるのか?というのは一切判りません。また、同じ足跡たどって帰ろうとしても、雪景色はそっくりに見えて途中でわからなくなります。このことは雪の中にBackcountryででていく自由度の高さ=楽しみと相反する怖さ、スリルです。
巨大にそびえ立つ雪山を目の前にして
雪をかき分けて自由に何処でも歩ける楽しさと、途中で道を、足跡を見失う怖さはSnoe Shoeing独特のものだとしみじみ感じました。
”深い森だなぁ...不思議なもので雪があると何処となく安心して歩いていってしまうなぁ。”

”ちょっとくらい迷ってもいいや、方位磁石が手元にあるんだし、大丈夫やろう”

などという根拠のない思いとともに進んでいった先に目にした光景に
思わず感動させられました。


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