Backpackの凡人



台地に広がる化石、水晶の森

刻々と流れる時間の中で
世界は、地球は
常に変化し続けています。

曇りです。非常に悪い天気です。凡人号、西海岸San Franciscoから東に一路、ムハーベ砂漠を爆進中、Iowaに帰宅途上です。
グランドキャニオンの入り口フラッグスタッフを通り過ぎ、アリゾナ隕石孔を更に通り過ぎていきます。この数時間先はコランポー平原ですが、ちょっと寄り道。小さな町があります。ここで情報収集。
町ではクリスマスを祝って子供達が歌うたっていました。英語の歌で何かわかりませんでしたが、とても可愛らしい歌でした。
目的の場所までの道を聞きつけ、やってきました。この辺りにはポツンポツンと博物館兼土産物屋さんが並んでいます。中では多分、ちょっとした化石を無料でもらえます。土産物屋さんは無視
目的地だけピンポイントで一瞬だけ寄っていきます。Final PurposeはIowaまで戻ることにありますから、まだまだ、4000`以上あるのです。場所はPetrified Forest National Park、化石の森国立公園です。ほんの一瞬(Total 30分ほどだけ)でしたが、一応紹介しておきます。
入り口すぐは赤い大地の連続です。
季節は冬で雪が積もっています。赤い大地に白い衣がうっすらかぶって異様な美しさでした。
場所は荒涼とした砂漠なのですが、冬の今は極寒の地です。気温は軽く氷点下でした。進んでいくと赤い大地は少し様相を変え
重なる地層のむき出しになった世界に突入します。この辺は雰囲気的にはBadlands国立公園にとてもよく似ています。
アリゾナ、ニューメキシコ、ユタは岩、砂の世界で
人を寄せ付けない雰囲気に満ちた場所です。
むき出しの大地は惑星地球を思わせます。人の住む星ながら、ちょっとした気候のいたずらは人を遠ざけてしまうのです。
でも、かつてここにも人が住んでいました。Ruin=廃墟跡です。アメリカにはあまり歴史的遺跡はありませんが、New Mexico州にはアステカ文明の流れを汲んでいると思われる住居跡がたくさんあります。Taos Puebroなどはその典型です。
これはそれ程大きくはありませんが、それでも当時ココに人が住んでいたことを明らかに証明するものです。
地面に残った壁の跡がそうなのですが、
(奥の建物はトイレです。)
ここにはいくつかの集合住宅がかつてあって人が暮らしていたはずです。
水の乏しいこの場所に暮らすのは容易ではなかったはずです。一体、彼らはどうやってこの砂漠の中で暮らしていたというのでしょうか?生活するのは川のある場所の方が遥かにいいはずなのですが?
ま、そんなことはおいておいて先に進みます。
この辺り、荒涼
殺伐とした風景
無限に広がっています。水さえあればBackcountryとしてやっていけますが、水のない砂漠なこの場所ではどうしようもありません。水がないと動物はおろか、植物も生きていけないのです。結果、このとおり何にもない剥き出しの大地だけな訳です。川の流れた跡もありますが、一年の殆どが水なしの状態。時に雨が降れば、水を保持する力のない剥き出しの大地には無数の鉄砲水が生じます。
こういうふうでどうにも手の出しようがない開発のしようがない場所なんです。

辺りは砂の大地と
岩の壁があるだけ。
そんな岩の壁をよく見ると

『ん?あれは…?』
何か解りませんが、絵のようです。これまた人が大昔ココにいたことを証明するものなのでしょう。でなきゃ、宇宙人の仕業でしょうか?笑 ま、ここに住んでいた古代人のなせる業と考えるのが妥当でしょう。さっきの廃墟跡に住んでいた人たちが残したものかもしれません。まったく意味不明ですが、岩に掘り込んででも残したい、言いたいことがあったのでしょう。当時の人は一体何が言いたかったのでしょうか...
この辺には650以上のこの手の絵が見つかっているそうです。およそ、2000年前にかかれたものだろうとかんがえられているそうな。場所は違っても同様に象形文字をつかったエジプトの人たちも絵には生き物を多用しています。人の考えることというのは結局のところ似通ってることを示しています。お互いに地球上で全く違った場所で独自に進化してきた筈なのに不思議なものです。ホモサピエンスというのは。
Newspaper Rockというように、この岩は本当に新聞紙的役割、あるいは掲示板のような役割をはたしてたのでしょうか?今となってはわかりようがありません。
更に、ドライブ先に進みます。気分は
惑星地球探検
ってところでしょうか。これと比べれば日本は水と緑の豊かな場所です。同じ地球上、同じ緯度ながらこうも違うと言うのはいやはや。
岩や砂は益々怪しさを増しますがそんな中に
ポツンポツンとどこかしら目につき始めるものがあります。
これです。色とりどりで何処かしら綺麗な岩です。今まで見てきたRed Rocksとは明らかに違います。
やけに綺麗ですが、見れば






















これは全部
木でした。ん?木と言っていいのかな?
木と言っても普通の木ではありません。












全て倒れて砂漠の大地に横たわっています。
見た目は木でも内容は木ではありません。たたくと、コッコッと重い音がします。木ですが岩なのです。木の化石なんです。
まるで木こりが綺麗に切り分け、並べたかのようですが、全部自然のなせる業。驚きます。
トレイルはそんな倒れた化石の森の中に続いてます。
見た目は木の切り株を並べたみたいですし、木のような色してますがやはり化石でとても重く硬い岩石なのです。
木の化石はアメリカではこの場所のみならず色んな場所で見つかっているそうですが、ここの化石群の集積は圧倒的に数が多く巨大です。
どうして、この場所にはこんなに木の化石が集積しているのでしょうか?
2億年以上も前に、この場所は火山地帯で、かつアマゾン川のような大量の土砂をはこぶ川があったのでしょう。この辺りは川にのって流れてきた倒木が集まりやすい場所だったのじゃないでしょうか。普通なら、倒れた木はすぐ腐ってしまう筈ですが、何故か腐ってしまう以前にこれらの木々は大量の土砂と、物凄い量の火山灰に埋もれてしまいました。その為に腐敗せずに地中に残ることになったようです。
火山灰は地球の主成分であるケイ素を大量に含んでいます。火山灰から大量のケイ素が雨水に溶け出し、それが地中に埋まった木々に凝集、集積します。
凝集、集積したケイ素は倒木の細胞と反応して酸化されたケイ素を生化学合成します。ちなみに、この酸化されたケイ素のうち二酸化ケイ素は石英とよばれます。

石英、それが特定の純度で得られるものは特に
水晶として珍重されます。
いわば、この辺は水晶原石だらけっちゅう感じです。
※ですから、ここでは一切の石の持ち出しを法律で禁止されています。
レンジャーステーションで
この化石の森、水晶の原木の説明がなされています。
この辺には大昔、松や杉のうっそうと生い茂る森があったのでしょう。
水が豊かだったようで、シダ系の植物や、マングローブのような植物も森の大木の下では繁殖していたようです。
今はなき森が、数億年の時を越えて宝石となって姿を現しているわ訳です。これらの木々は火山とか、巨大ななんらかの地球爆発がなければこういった化石になる可能性は極めて低いと考えられます。ひょっとするとこれらの木々は隕石や活発な火山噴火の作りだしたもの、いいかえれば地球が、自然が、その歴史の中でちょいとひとつ傑作を作ってみたというくらいのモノかもしれません。
それにしても、ココに来るまでにみた、赤い殺伐とした大地、砂漠の支配する荒野の支配するこの場所が数億年前には生命あふれる世界であったとは驚きを感じます。


Time Flies
光陰矢の如し


この辺りかつて豊かな土地だったのですね。人の住まいの廃墟跡もあるわけです。かつては全く今とは違った光景だった訳なのですよ。
砂漠とばっかり思っていたこの場所には、大昔、かつて恐竜達が辺りを練り歩き、
豊富な植物を糧に生きていたということなのです。時代はこの世界をかくも厳しく作り変えてしまった。。。
確かに、この辺は見渡す限り木の化石が

アッチにゴロゴロ
コッチにゴロゴロ
あたり一面、化石だらけです。
まさに化石の森という表現はピッタリです。
化石はあまりにも不自然に輪切りになっていますが、地表が隆起する過程で、あるいは地震からくる圧力を地中で受ける過程でひびが入ったものなのです。
これ、木みたいに見えると感じるでしょうけど、近くによって見ると簡単に分かりますが
それは明らかに岩、もっといい言い方をすれば先に言ったように
それは水晶の
巨大な塊です。
それは水晶よりももっと美しいものだと私は感じました。美しいものと言うのははかないもので、これらの木々はやがては雨にさらされ削られ、あるいは沁み込んだ水が凍って膨張、破壊し粉々にしてしまう運命にあります。
でも、この美しい木々はこの場所ではもの凄い数を誇ってます。ちなみに地下100m程にわたって化石がゴロゴロ埋まっていることが分かっているそうで、今後また数億年かけて地表を削りだすうちに、その数はもっともっと増えていくはずです。かつてこの一体をうっそうと何処までも覆っていたであろう美しい緑は、
また一層美しさを変えて目の前にその姿を現わすのでしょう。死してなおも過去を凌駕する森の姿というのはそれを理解して初めて深い感動に変わります。
刻々と流れる時間の中で世界は、地球は常に変化し続けている、ということなのです。
美しき星地球は知られざる姿をまだまだ隠し持っているに違いありません。この砂漠に倒れた化石の木々を見ながら数億年前のこの場所の光景を想いました。

あたりには大河が悠然と流れ
 そよそよと風がやさしく吹いてきます。

  辺りを恐竜達が練り歩き、
 魚が跳ねる水面には
太陽がまぶしく輝いています。

  その全てを広大な緑の森が
   優しく優しく包み込んでいます。


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