ドライブの凡人



Seward Highway 一生一度は運転してみたい道路です。
ここの良さ、凄さは写真では伝えきれませんから。


2004年夏のアラスカです。マッキンリー見ようという目的のもとデナリWonder Lakeで4連泊、それまで晴れていましたが遂に雨雲がやってきました。前日晴れていましたが、今後の雲行きを見越して最終のバスでBase campとしていたWonder Lakeから入り口のライリー・クリークのキャンプ場へと移動してきました。まだ、Wonder Lakeで2泊分の予約が残っていたのですが天気で計画を変更する、という凡人の鉄則は変わりません。とりあえず、朝5時頃に雨の中、ライリークリークキャンプ場にはったテントを畳み、アンカレジへ行くの方法を考えました。デナリにいたのではレンタカーも借りれないのです。Backpack一式をしょってレンジャーセンターに行くとまだ閉まってます。怪しげな風貌でしたが50代と思われる白人のオバちゃんがいました(写真左)。

『ああ、8時にね、アンカレジ行きのシャトルバンが来るわよ。』

電話番号もらって、電話すると空きがあったので予約しました。その後、このおばちゃんと1時間ほど話してバンが来るのを待ちました。このおばちゃん、ドイツ人。自転車でソロ旅行を楽しんでるとのことでした。しかし、よく聞けば、このオバちゃん猛者でした。実は写真のとおり自転車にBackpack道具一式積んでテント生活で、アメリカ、シアトルからロッキー縦断してきたのだそうです。。。(呆)おばちゃん、凡人よりだいぶん小さいのに...
ドイツ語なまりの英語でしたが一生懸命に英語しゃべって色んなこと教えてくれました。

『私ね、去年、退職したの。自分のやってみたいこと挑戦しようと思って、半年ズーッとドイツでトレーニングしてきたわ。ここ、デナリは私の到着点なのよ。やればできることを感じたわ。本当にExciting!』

だそうな。やればできるんですねぇ。問題は本当に『やりたい。』と思うか否か、それだけです。結局、こういう気持ち、というのが大切なんですね。思えば、凡人はこの春先までテント生活した経験はほぼ皆無でした。でもマッキンリーを見てみたい、その思いだけが自分を突き動かして、凡人も徐々にBackpackerとして上達してきたのです。おそらく、『人って気の持ちようでどうとでも変わっていける』っちゅうことを示しています。単に自分を如何に動機付けしてけるか、それだけの問題です。ま、なんだってそうでしょうけど。

さて、シャトルバンが来ました。乗客は各自のBackpackを、オバちゃんは+自転車をバンの荷台に乗せてしまいます。Backpackerが多いこともあってバンの会社も慣れています。大量の荷物なのにまだまだ十分なスペースがありました。
ほんでもって朝8時、デナリ出発。一路アンカレジへ。悲しいですが、雨降るデナリは、今回はこれでサイナラ。
デナリ出て道中、激しい雨でした。

『こんな中で、Wonder LakeでBackpackingだったら最悪だな。よかった、撤退の判断して...』

予約残り2日分約40ドル捨てる結果とはなりましたが、雨降るデナリを脱出できたことはラッキーでした...辺りに激しく降る雨で黄色く色づいたアスペンや、赤く紅葉したツンドラも霞んでしまってます。デナリはいい時間でした。沢山の熊、どいつもブルーベリー食べるのに夢中でした。それにまた彼方此方にいたカリブー(トナカイ)やムース、時にもたげる頭に冠のように空高く映える角は威風堂々としてました。狼、狐、雷鳥、ドールシープ、ビッグホーンシープ...デナリで見かけるはずの動物を全て広大なツンドラの大地やタイガの森で出会うことができました。そんな動物達の支配する世界に自分はたった一人、ヒトという小さな侵入者となって気づけばおっきな自然とガップリ四つ組んでました。Backpackerにとってデナリが聖地と言われるのも今なら完全に理解できます。

『ああ、いい時間だった...

と、外に降る雨を見ているうちに眠ってしまっていました。凡人、流石に疲れていたのです。
(ちなみに後で比較して思いましたがアンカレジ⇔デナリ間の道中の景色はアラスカ鉄道の方が圧倒的に素晴らしいです)
アンカレジに到着しました。(実際には到着時雨が降っていました。これらのアンカレジ市内写真はその雨のアンカレジに到着した3日後に撮ったものです。)

アンカレジはとてもこじんまりとした町。小奇麗なところです。こじんまりとは言ってもアラスカでは最大の都市。アラスカの玄関のようなものです。季節は夏、体感的には春のような感じでとても爽やかです。
町中、、花で溢れかえっていました。その花々は緑の芝生とともにアンカレジの根幹となる町の印象を作っています。ひとこと、綺麗な町と素直にいえます。
町の中心の公園は特にそんな緑と色とりどりの花で囲まれ、噴水が静かに音を立て、とてものんびりした小春日和を思わせる陽気に包まれていました。
その傍にVisitor Centerがあり、ここで次に何処に行こうか?という作戦を練ることにしました。(前に述べたように、写真は実際数日後にとったものですので、この日は本当は雨が降ってました。)最重要チェックポイントはアラスカで天気の良い場所を探す、ということでした。そこに何らかの方法で行こうという計画です。

『.....』
『おいおい、何処に行っても雨やんか...』

がっかりしました。チェックするとアラスカ一帯を広くむこう数日間、雨雲が覆っています。

『こまったな、どうしようか...』

雨でも楽しくできることは何か?

『釣りだ。サーモン釣りに行こう。』

と思ってVisitor Centerのオバちゃんに尋ねると

『アンカレジから南に3時間行くとキナイ半島に出るわ。そこがいいわね。』

だそうです。聞けば、キナイ半島のキナイ川、サーモン世界一の川。さらに半島を南に行きSewardの町に至れば海でもサーモン釣れるそうです。キナイ半島一帯は明日は雨ですが明後日から晴れる天気予報です。他のちょっとした要因(他のAttractionの多さ)も考え合わせてSewardに向かうことにしました。

明日(雨):Sewardでサーモン釣り
明後日(曇〜晴):キナイ・フィヨルド攻め

とりあえず、この計画でいって、その後はまた、その時、アラスカじゅうの天気チェックして別の場所行きを決定しよう。そう決めました。Backpackある限り計画なんて全くの自由です。アラスカには至るところにキャンプできるサイトがありますから。
ほんでもってレンタカー借りました。レンタカー、2台目です。(今回の旅では合計3台借りることとなりました)凡人は青色が好きですからこの時選んだのはこれです。

DodgeのNeon

アメリカのCompactクラスのレンタカー借りるとしょっちゅうコイツに出くわします。スピードがやたら出て、燃費がめっちゃ悪い典型的アメ車。ちなみにアラスカのレンタカーはとても安いです。前もって手配していれば大体、Economy/Compact/Mediumクラス距離無制限一日あたり15〜25j範囲で借りれるのが普通です。しかも、自動車保険は自分の加入している自動車強制保険がここでも適用できますので、日本と比べればいかに安く借りれるかが分かるでしょう。でもアンカレジは夏のこの時期、大体一日50j少々かかりますね。アメリカにあっては高いレンタル料といえます。ま、それでも凡人の旅行スタイルにレンタカーは必須です。爆走はBackpackingのいい準備体操くらいのもんです。所詮、毎度のこと。そうでもしないと、『天気のいいところに行く。』という凡人の鉄則は達成されません。
ブロロロロ....

出発。今回はアンカレジ(赤★)から南に3−4時間Seward(緑丸)へ向かいます。その間、Anchorage-Sewardの道路(青線)はSeward Highwayといいます。Sewardのある半島がキナイ半島です。黄色い範囲の海岸線、ゴニョゴニョと入り組んでますが、これは氷河によって作られたフィヨルドです。釣り、氷河、フィヨルド、ま、行くには十分な理由だろう、ということで。3時間高速運転してもで青線分だけ。こうやってみるとアラスカって超巨大です。
降り続く雨の中、アラスカの黄葉を目にしながら一路南下。
道路は、湾を右手に見ながら運転することになりました。道路右はこじんまりした自然の湾なのに道路左には実に急峻な山が突然ズドーンとそびえています。雨で霞がかった感じでしたが、その景色は素晴らしかった。この山と海の間を抜ける道は
Seward Highwayの序章に過ぎませんでした。まだまだ、先は長い。どうやらこの山、湾を抜けた後、本格的山中に入るようです。
山、海という2つを同時に楽しんでいる途中、雨が小降りになりました。この旅、巨大火事の煙で終始曇った天気でしたが、雨は煙を捕捉してくれますから、雨があがった後というのは見通しが利きました。

『ラッキー、雨やんだぞぅ♪曇りは残念だけど、珍しく景色がよく見えるな。』

と思って運転していると、

『ん?ありゃなんだ?』
『うわ』
『これ、氷河か...』
Denali(Polycrome)であれだけ苦労して、やっとこさ見た氷河がココでは道路際に
あるある、沢山ある。。。
日常とはかけ離れたこの光景。凡人は足を止めさせられてしまいました。




美しすぎる...



入り組む海

そびえたつ山

蒼く白く流れる氷河

低く垂れ込めた雲
氷河って...
少し前まで地球を覆っていたんだよなぁ...

少なくとも地球は何回かの氷河期を経験していることがわかっています。200万年前から約1万年前までの間には少なくとも4回の大きな氷河期がありました。最後の氷河期を生き抜いた者達の一部が今の時代に至っているものだと思います。アラスカには無数の氷河が今でも残っていて当時の面影をもっとも色濃く残しているだろうと思われます。自然、そこに住むアラスカの動物達は氷河期にいたのではないか?と考えてしまいます。本当か嘘かはともかく。
ジャコウ牛などはその典型です。数こそ減りましたがアラスカの一部の場所には今でもジャコウ牛が棲んでいます。

ちなみに地球誕生は46億年前。22億年前と6億年前の二回、地球は全ての土地が氷点下50度以下、海も陸もすべてが凍りついたとする証拠があります。それをもとにSnow ball仮説を提言する研究者がいます。地球全球が凍結したその時代、すべての生命は絶滅寸前にまで追い詰められたことでしょう。何故そういうことがおこったのか?それはその時代、時代の生物自身のなせる業である可能性が一番高いのだそうです。植物、動物のバランスが崩れれば、それは温室効果ガスの増減につながります。温室効果ガスの激減という地球史上最大の環境汚染が本当にあったとすれば、地球は全球凍結という強烈なしっぺ返という形で全生物を死滅させたのではないか?という訳です。
本当か嘘かはともかく、多彩な歴史を経て生物は進化し、ヒトも誕生します。100万年ほど前に誕生したヒトは氷河期を数回切り抜けてきました。ヒトは氷河期、当初その時代にいた動物を狩猟によって捕まえて生活してきたでしょう。肉食動物としてのヒトです。1万年前に農耕牧畜が始まったらしい、といういくつかの発掘証拠があります。それは最後の氷河期の終わった丁度その頃。ちなみにこの時期、臼歯をもった種だけがヒトの祖先として今にいたり、臼歯を持たなかった(おそらくイネ等の植物を食べることはせず、狩猟によって肉だけ食べていた)類縁の種は死滅してしまっています。最後の氷河期を越えるのに動物しか食べていなかった肉食ヒトは滅亡した訳です。今生き残っているのは例外なく臼歯を持った雑食化(草食+肉食)した種のヒトです。地球温暖化している今、次の地球規模の大きな環境のうねりを乗り越えるのに必要な能力は一体何なのでしょうか?少なくとも”受験勉強”はその答えではないでしょう。
さて、氷河見ながら色んなこと考えてしまいました。そういった氷河期という寒い時期を潜り抜けてきたヒトの範疇である自分、凡人は目の前の氷河の景色を

”美しい”

という感情で眺めています。恐らく今を生きる多くのヒトがそう感じるでしょうし、太古よりヒトはそう思ってきたのではないかと思います。氷河をそのように美しいとヒトが感じる理由は、氷河期を生き抜いてきたヒトの知られざる過去の歴史がかかわっているのは間違いないでしょう。一体、ヒトは氷河とかつてどういう付き合いをしてきたんでしょうか?今となっては知る由もありません。
えー、兎も角も、美しさにアッチコッチで止めて車を止めて
見る景色は、たとえ今、目の前に氷河がそこになくても
そこに氷河がかつて大きな流れを成していたであろうと思わせるものばかりで、それもまた

”美しい”

と感じるものでした。
そんな景色の足元には海が広がっているのですが、ここの潮流はびっくりするぐらい早かった...まるで鳴門の渦状態でした。ここは潮の満ちひきによる干満がとても大きなところなのだそうです。
なつかしい。我が地元の有明海を思い出しました。かつて潮干狩りしにいって沢山のアサリ貝をGetした後、満ちてくる潮の速さに戦々恐々して干潟を逃げ帰っていたあの日のことを。満ちてくる潮が怖かった...

あ、それとよくシャッパも捕まえたもんです。干潟に沢山小さな穴があって古い習字の筆入れておくとシャッパが筆を押し上げてくるのです。それを沢山捕まえました。ただ、シャッパの茹でたのあんまり好きじゃないんだよね。
ま、自分の過去や難しいこと考えたりしなくても、単純にこの景色は美しいので何度でも足を止められます。
フィヨルド
それは去り行く氷河の後姿です。
アラスカに5000の氷河?嘘やろ...
と思っていましたが、ここをドライブしてそれは本当だろうと思いました。
車を停めて、そんな景色に見とれているうちに、凡人やってしまいました。

鍵かけたまんまロック

こんな辺鄙な場所でぇ〜〜(T_T)
凡人、これまで同じこと何回やったことか...
仕方ないのでテクテク歩いて先に行くと、
運良くガソリンスタンド発見♪

更に運良く

『うお!あれはレッカー車じゃないか?』

と思っていると、ガソリンスタンド併設のコンビニから
それらしいお兄ちゃん!

『おう、どうかしたか?』

ラッキーでした。このお兄ちゃん、プロ、プロ。
ふーん、Dodge Neonねぇ...といってわずか1分程で

ガチャ

『本当ならレンタカー屋にカクカクシカジカで開けてやったぞ、と連絡しないといけないんだけど、今回はだまとってやるよ。』

(T_T)

いっぺんにアラスカの人
大好きになりました。
チップはずんだのは言うまでもありません。別れ際、このお兄ちゃんの何気ない例のひとこと

”Have a good day !”

なんという心に響く言葉...
凡人、返事しました。

”( I ) Had a good day”

お兄ちゃん、笑ってました。
再度、爽快に運転。やがて湾は遠のきました。
途中、小さな一軒家がありましたが、この小さな建物、アラスカ鉄道の駅だそうな...おい、周りになにもないぞ。こんなとこで降りる人とかおらんじゃろぅ
海から離れると、道路は山の中に向かっていきました。
山にはいると、氷河を見かけなくなりました。ま、それでも山だけでも美しいよ
全て見えないそのことが更に自分を刺激しているのか、それに惚れ惚れと見とれてしまう自分の心は、まさにチラリズムの不思議
そしてそれは見返り美人を期待させるに似た人間の本能
曇ってはいましたが、その景色は凡人の心をグッと掴むのに十分でした。
雲で全部見えないのは残念だけど、逆に雲が演出効果出してるよ。見えてしまうよりいいかもしれない。

 ウム
こうして曇天の中、凡人爆走♪
辺りは氷河に長い時間かけて削られたと思われる
凹って感じの地形が
アッチコッチに
広がってました。
凡人、便意を催してダッシュ
こんなに爽快なトイレも初めてでした。
氷河去って

なお美し
アッチもコッチもそんな感じのものばかりで、かつてこの一帯を広く覆っていたであろう氷河の姿を想いました。
ここのドライブはサイコーです。

よかけんがら、いっぺん来てみんしゃい

言いたいのはそれだけです。
到着したのはキナイフィヨルド国立公園
ここで凡人は本当の氷河
氷原を見ることとなりました。

スンバラシー

Sewardでは楽しく海でサーモンを釣ることもできました。

たんのしー

こりゃ、間違いなく今までで凡人にとってBestの場所。理由抜きにこの一帯は大好きです。良過ぎる!
そしてSeward一帯で予定通り2泊3日。いったんアンカレジに帰って再度、別の場所に出直すことにしました。
Seward HighwayをSeward→Anchorageへと逆走です。この日は天気良く、前のように垂れ込めた雲はありません♪前回とまた違った景色を堪能
前回と違ったのは
前は雲で隠れて
見えていなかった山の鋭い頂上が
今回は見えていて、本当に沢山の山が連なっている...と感じたことです。なんといいましょうか、凛とした気品ある感じとでもいいましょうか。
雨が前回のように降っていないので、またこの年問題となっていた北フェアバンクス一帯からの煙が景色を曇らせていました。
うーん、見返り美人を想う心はあるが、ボカシはいかん!失礼 冗談、冗談
でもそのボカシでも十分に綺麗でしたヨ。
燃えるファイアーウィードはまるで赤い衣をまとったような美しさ
運転していて飽きの来る部分なんて道中全くありませんでした。
私、凡人にとってのSeward Highway
なんといいましょうか...
一目惚れしたそのヒトは自分にとって完璧な存在
私は色んな場所に行きましたが、今でもこの場所が一番好きです。

Seward HWY;
My heart has been and shall be totally stolen forever.


恋とは突然に訪れるもののようです。
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